息子と夫、父子キャンプ
小学6年の息子が、夫とキャンプに出かけました。
メンバーは夫の友人家族で、参加した子どもたちは就学前の小さな子ばかり。息子は最年長でした。
息子は夫とキャッチボールがしたくて、グローブとボールを持参。
でも、夫は友人たちとの再会で会話が弾み、息子は1人で小さな子たちと遊ぶことに。
褒められていたけれど……
最初は楽しそうに、3歳や4歳の子に軽くボールを投げてはキャッチさせ、遠くに投げられたボールも笑顔で拾いに行っていました。周りの大人たちは、そんな息子を褒めていました。
「K(息子)はえらいな〜」
「小さい子の面倒を見てえらい!」
「優しいなあ」
息子が子どもたちの相手をしているから、大人たちは大いに楽しめます。
息子自身も、小さい子の相手をするのは嫌いじゃありません。でも――。
帰宅後にこぼれた、息子の本音
キャンプから帰ってきた息子に「どうだった?」と聞きました。すると、
「楽しかったよ。でも、おれ、ずっと小さい子の相手しててさ……キャッチボール全然できなかった」
とぽつり。
それは、息子のちょっとした“本音”でした。
「遊んであげててえらいね」なんて言われたら、「自分も遊びたい」なんて言い出しにくい。そう思っていたのです。
私はハッとしました。
親から見れば頼もしく見える姿も、本人は“いい子でいなきゃ”というプレッシャーを感じていたのかもしれない、と。
“えらいね”が重荷になるとき
夫に話すと、「それは申し訳なかった。おれも話すのに夢中になってた」と反省。
そしてその日の夕方、息子と2人でキャッチボールをしに出かけて行きました。
子どもが黙ってがんばってしまう場面は、案外こんなふうに日常に潜んでいます。
“えらいね”の言葉で縛っていないか、大人はもっと敏感でいたいと思わされた出来事でした。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。