「また預かってって……?」モヤモヤする義母の本音
60代の知人女性A子さんには、近所に住む息子夫婦がいます。
嫁は3児の母。
日々育児に追われながらも、ことあるごとにA子たちの家を訪れ、孫たちを預けていきます。
「今日は夫とデートしたいです、この子たちをお願いしますね♪」
そう言って、3人の子どもたちを笑顔で置いていく嫁。最初は頼られて嬉しかったA子さんも、毎週末の頻度となると、内心は複雑でした。
実はA子さん、もともとかなりの“世話焼き気質”の人。
誰かの役に立つのが喜びで、料理や子守りも苦ではありません。
でも、当たり前のそれに甘えっぱなしの嫁の姿には、次第に「ちょっと図々しくない?」という思いも芽生えていきました。
同居話から見えてきた嫁の“本音”
ある日、息子がA子さんに切り出しました。
「母さん、いずれ一緒に住めないかな?」
突然の提案に戸惑うA子さん。「急にどうして?」と聞くと、息子は少し言いにくそうに、でも確かに言いました。
「嫁が言い出したんだ。母さんと一緒に暮らせたらいいなって」
驚いたA子さんに、さらに息子が続けます。
「嫁、実家では厳しく育てられてきたのは何となく感じてるでしょ? 子どものころからあまり甘えられなかっただけじゃなくて、今もほとんど自分の実家には寄り付いてないんだ……でも、母さんといると安心するんだって。“本当のお母さんだったらよかったのに”って言ってたよ」
「頼られる」ことの意味が変わった日
その言葉を聞いた瞬間、A子さんははっとしました。
「実家より楽」という言葉は、単なる都合のよさではなかったのです。
嫁は、甘え方を知らずに大人になった人でした。
そんな彼女が心を許せる相手として、A子さんに本音で接していた。それは信頼の証だったのです。
これまで“図々しい”としか思えなかった行動が、「この子なりの愛情表現だったのかも」と、違って見えた瞬間でした。
今では、にぎやかな二世帯暮らし
その後、息子家族と話し合いを重ね、二世帯住宅を建てることに。今では、1階と2階にそれぞれの生活空間をもちながら、家族全員で仲良く暮らしています。
嫁は今でも孫たちを預けにきては「今日もお願いします♪」とニコニコ。A子さんは「はいはい」と笑っておやつを用意する。
でも今はもう、その関係に以前のようなモヤモヤはありません。
「図々しい」の奥にある、本当の気持ち
嫁姑関係に正解はないけれど、頼られることに少し目を向けてみると、思いがけない信頼や愛情が隠れていることもあるのかもしれません。
図々しい……そう思っていた嫁が、今では“愛おしい存在”になった。
そんなA子さんの話に、私はなんだか心があたたかくなりました。
【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。