これは、筆者の知人のA子さんに聞いた話です。子どもを連れて電車に乗っていたA子さんは、静かに過ごしていたにもかかわらず、見知らぬ男性から心ない言葉を浴びせられます。言い返せず俯いたそのとき、そばにいた女子高生の意外な一言が、車内の空気を変えました。
ただ、乗っていただけなのに
その日、私は3歳の息子を連れて病院の帰りに電車に乗っていました。
息子は診察で疲れたのか、ぐずることもなく私の膝に寄りかかって静かにしていました。
ところが、斜め前に立っていた一人の男性が、急に声を荒らげてきたのです。
「子ども連れて電車に乗るなよ。ただでさえ邪魔なのに。親も親なら子も子だな」
息子は何もしていないのに……私は驚きと悔しさで言葉が出ず、ただ小さく頭を下げるしかありませんでした。
車内に走った、沈黙
その後、車内には沈黙が流れました。
男性はなおも文句をぶつぶつ言いながら、わざとらしくため息をついています。
私はただ降車駅まで耐えるつもりでした。
しかし、すぐ隣に座っていた女子高生が、そっと立ち上がってこう言ったのです。