これは筆者自身の体験です。
「いろんな経験をさせてあげたい」と思い、毎日のように息子を外へ連れ出していた私。
でもある日、息子のひと言でハッとさせられました。
“子どもの気持ちを尊重する”という大切さに気づかされた出来事です。

毎日どこかへ連れて行っていた私

子育てをしていると、「この子にいろんな経験をさせたい」という気持ちが自然と湧いてくるもの。私もまさにそうでした。
4歳の息子のために、時間があれば支援センター、公園、近所への散歩……。
どんなに小さな用事でも「今日はどこに行こうか?」と、必ずどこかへ連れ出していました。

楽しそうな笑顔に→親のエゴ?

息子も最初は楽しそうでした。
公園で走り回り、支援センターで他の子と遊ぶ姿に、私も「よし、明日もどこかへ行こう」と張り切っていたのです。

けれど、ある日ふいに言われたひと言にドキッとしました。
「ママ、毎日どこか行くの、ちょっと疲れちゃった」

子どもだって“気分”がある

驚きました。子どもっていつも外で遊びたいものだと思い込んでいたから。
私が“この子のために”と思ってやっていたことが、実は押しつけになっていたのかもしれないと気づかされた瞬間でした。

よく考えてみれば、子どもだってその日の気分や体調があります。
「今日はおうちでのんびりしたい」そんな日もあって当然。
それなのに、私は“良かれと思って”連れ回していたのです。

成長に気づけたうれしさ

でも、同時に感じたのは、息子が「自分の気持ちをちゃんと伝えられるようになっていた」ということ。
赤ちゃんの頃は泣くことでしか不満を伝えられなかったのに、今は言葉で教えてくれる。
その成長に、私は素直にうれしさを感じました。

一緒に決めるという大切さ

この出来事をきっかけに、「今日はどこか行きたい? それともおうちがいい?」と毎朝聞くように。
すると息子も自分の希望を話してくれるようになり、一緒に予定を決める時間も楽しみになりました。

“親が決める”のではなく、“一緒に決める”。
それだけで親子の関係が、少し対等で、温かいものになった気がします。

子どもの声に耳を傾けて

子育てではつい「いいことをしているつもり」で、知らず知らずのうちに“押しつけ”になってしまうことがあります。
でも子どもには子どもなりの気持ちやペースがあり、それを尊重することが本当の愛情なのかもしれません。

これからは、「どこへ行くか」よりも「一緒にどう過ごすか」を大切にしていきたいと思います。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。