結婚式でのスピーチ。
夫の上司が語った “ある言葉” に、私は固まってしまいました。
ウケ狙いなのかもしれないけれど、それは私の頑張りをなかったことにする一言で──。
ところが、その後のひと言に、私の顔から笑みが消えました。
「新婦のお母さまは調理員をされており、料理がとてもお上手だとか。夫くんは奥さんが作ったと思っていますが、最終的に誰が作ったのかわかりませんけどね!」
場内に笑いが起きるなか、私だけが凍りついていました。
私の努力を、なかったことにしないで
母が調理員をしていたのは事実です。
しかも、母の職場は私の勤務先のすぐ近く。
夫の上司はそのあたりの事情もよく知っていたのでしょう。
でも、あのお弁当はまぎれもなく、私がひとりで作ったものです。
母が父の弁当を作る時間帯と重ならないように、こっそりと準備しました。
朝からお弁当を作る私を見て、父と母が「味見」と称して朝食に食べたのも、いい思い出だったのに。
それを「母が作ったのかも?」と笑い話にされてしまったことが、どうしても悲しかったのです。
今でも、あの場面だけは見返せない
結婚式のスピーチは難しいものだと思います。
ウケを狙うことや場を和ませることも重要ですが、何よりも相手への敬意と事実の尊重が大切ではないでしょうか……。
事実かどうかも分からないことで人の努力を茶化すのは、違うと思うのです。
結婚式の時のビデオを懐かしく見ていても、今もその場面だけは飛ばしてしまいます。
そんな経験を通じて、言葉の持つ力と、人への配慮がいかに重要かを改めて考えるきっかけになりました。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。