「女の子はいらない」と言っていたおばが、孫娘との時間を通じて変わっていった──そんな、あたたかな出来事です。
男の子がいるから安泰──そう思っていたあの頃
友人Aのおばは、昔からこう言っていたそうです。
「うちは男の子で将来安泰。女の子はいらないのよ」
おばの子どもは男の子ふたり。
兄はおばと二世帯住宅で同居し、弟も月に一度は隣市から顔を出すという親思いな関係が、おばの自慢でした。
Aが「女の子もかわいいですよね」と言うと「でもね、やっぱり家を継ぐのは男の子でしょ」と返されることも。
昭和世代の価値観に基づいたその言葉に、Aはやんわり受け流すしかなかったといいます。
戸惑いから、想像以上にあたたかい時間へ
ところが、そんなおばに、女の子の孫が3人も誕生します。
しかも、息子夫婦は共働き。
自然と、おばが子育てを手伝うようになりました。
かわいい洋服を見つけては、孫にプレゼント。
ある日、孫が新しい服を着て、うれしそうに周囲に言ったそうです。
「このお洋服、おばあちゃんが買ってくれたの~!」
自慢げなその様子を見て、おばも思わず笑ってしまい、次第に心をゆるめていきました。
「おばあちゃんみたいになりたい」
ある日、学校の懇談会に出席したお嫁さんが、笑いながら話してくれたことがありました。
担任の先生に「将来の夢は何ですか?」と聞かれた孫が、こう答えたのだそうです。
「うちのおばあちゃんみたいになること」
職業ではないその答えに教室は和み、お嫁さんは苦笑しつつも何も言えなかったといいます。
帰宅したおじにこの話をすると「よっぽどお前が楽しそうなんやな」と大笑い。
その笑い声を聞いて、おばは少し照れくさそうに笑っていました。
女の子って、毎日が楽しいのよ
今でも孫は、仕事帰りにおばの部屋に寄って、今日あった出来事を楽しそうに話していきます。
ひとしきり話すと「また明日ね!」と笑顔で手を振り、自分たちの部屋へ戻っていく。
おばの体調不良も即座に気づき「おばあちゃん、病院行こう!」と細やかに声をかけてくれます。
その姿を見て、おばはぽつりとつぶやきました。
「女の子って、毎日が楽しいのよ」
【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。