「自由になりたい」と家族を捨てて勝手に家を出て行った夫。数年後なぜか戻って来ますが、妻は優しく迎え入れます。身勝手過ぎる夫が辿る末路はいかに……筆者の知人のお話をお届けします。

家出をくり返す夫

私の知人E子さんの話です。
E子さんの夫は、結婚当初から気に入らないことがあると、

「出ていく」

と言ってそのままふらっといなくなることがありました。
自分の実家に数日間滞在し、その後何事もなかったように帰宅するのです。

初めのうちはE子さんも驚き、探し回りましたが、何度かくり返すうちに慣れてしまい、諦めモードに。

やがて息子が生まれ、その子が大学生になるまでは家出癖は落ち着いたように見えました。

自由になりたい

ところがある日。
E子さんが外出先から帰宅すると、家の中の夫の荷物がごっそりなくなっていることに気づきました。

これはもしや?

久しぶりの感覚にE子さんの心はざわつきます。
夫の携帯番号にかけてみると、繋がりました。
夫曰く、

「一人で自由に暮らしたい。マンションも借りた」

とのこと。

身勝手過ぎる夫の言い分に怒り心頭のE子さんでしたが、いったん落ち着きます。

息子に事情を話すと、

「俺、来年卒業だしもう離婚したら?」

と呆れた様子です。
しかしE子さんはここで離婚はしませんでした。

身勝手な帰還

そして3年後。なんと夫から

「一人は寂しいからやっぱり帰る」

と連絡が来たのです。
E子さんはこの申し出を受け入れました。息子は驚きます。

「親父のヤツ、勝手過ぎるだろ。なんで受け入れるんだよ」

E子さんは笑顔で言います。

「お父さんが定年になったら財産分与して退職金も半分もらって離婚するの。そして私がこの家を出て行くから。その時をずっと待っているの」

E子さんの夫の定年まであと2年です。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:田辺詩織
元医療事務、コールセンター勤務の経験を持つ在宅ワーカー。文学部出身で、文章の力で人々を励ましたいという思いからライターの道へ。自身の出産を機に、育児ブログを立ち上げ、その経験を生かして執筆活動を開始。義実家や夫、ママ友との関係、乳幼児期から中学受験まで多岐にわたる子育ての悩みに寄り添い、読者が前向きになれるような記事を届けている。