夜に1人で外にいると、何となく緊張してしまいますよね。普段は気にも留めない物音や、道端の暗がりにさえ、思わずドキッとしてしまったり……。今回は、筆者の友人が夜のバス停で体験したエピソードをご紹介します。
静まり返った夜のバス停
その日は残業で、会社を出た頃にはすっかり夜も更けていました。
最寄りのバス停に着くと、人通りはほとんどなく、辺りは静まり返っています。
手持ち無沙汰にスマートフォンを眺めながらも、なんとなく心細く、風で葉が揺れる音にさえ、びくっとしてしまう始末。
早くバスが来ないかな……と心の中で呟きながら、無意識に身をすくめていました。
背後からの声
その時、ふいに背後から「遅い時間に1人で大丈夫ですか?」と、落ち着いた低い声が聞こえたのです。
心臓が喉から飛び出しそうなくらい驚いて振り返ると、40代くらいの男性が静かに立っていました。
きちんとしたスーツ姿で、物腰も柔らかく、威圧感は全くありません。
一瞬、ぐっと身構えた私でしたが、彼の優しそうな目元を見て、張り詰めていた緊張がほんの少しだけ和らぐのを感じました。
「すみません、驚かせたくなかったんですけど……」そう言って彼は、少し申し訳なさそうに眉を下げました。