仕事で心身ともに疲れ果てた帰りの電車では「ただ静かに座っていたい」と思うこともありますよね。でもそんな時に限って、思いがけない出来事が起きるものです。今回は、筆者の友人が体験したエピソードをご紹介します。
疲労困憊の帰り道
その日、私は都内で開催された大規模な合同展示会に、自社のスタッフとして遠方から参加していました。
朝から1日中立ちっぱなしで、お客様への対応に追われ、気づけば足はパンパンに。
全ての片付けを終えて、夜の新幹線に乗り込んだ頃には、もうヘトヘトでした。
車内を見渡すと、私と同じようにスーツ姿でぐったりしている人ばかり。
きっと、同じ展示会からの帰りなのでしょう。
突然、肩に重みが
発車して間もなく、隣の席の男性が缶ビールを開けて一気に飲み干すと、スマホをいじりながらこっくりこっくりと舟を漕ぎ始めました。
案の定、車体がガクンと揺れた瞬間、男性の頭が私の肩にストン。
息が詰まるような不快感に、私は意を決して「すみません」と声をかけました。
すると彼は半目を開け、あろうことか「チッ」と舌打ち!
「……うるさいな。肩くらいちょっと貸してくれてもいいだろ」
信じられない一言に、頭の中が真っ白になりました。
颯爽と現れた救世主
恐怖と悔しさで何も言い返せず固まっていると、後ろの席からすっと立ち上がる人影が。
凜とした女性の声が、静かな車内に響き渡ります。
「うるさいのは、そちらではないですか?」
振り返ると、私より少し年上の30代くらいに見える女性が、こちらを見下ろしています。
男性は「は? 関係ないだろ」と反論。