引っ越し先での違和感
家族で中古マンションに引っ越して1ヶ月。
清潔で静かな環境に満足していたのも束の間。
ある日、隣のC子さん宅の前に、大量の段ボールや子どもの自転車、おもちゃがずらりと並べられているのを見て驚きました。
エレベーターの前まで塞がれていて、通るのも一苦労。
最初は「一時的かな」と思っていたのですが、1週間経っても変わらず、むしろ物が増えていったのです。
勇気を出して注意したけれど……
ある朝、ベビーカーを押しながらすれ違おうとしてつまずきそうになったので、ついに意を決してインターホンを押しました。
「すみません、廊下は共用部分なので、できれば少し片付けていただけると……」と柔らかく伝えたつもりでした。
ところがC子さんは「ああ、うちが邪魔ってことですね? 家の中が物でいっぱいだから外に出してるだけなんですけど言い方ってありますよね」と、明らかに怒りを含んだ口調で応じてきたのです。
思わぬ展開、管理組合に相談
それ以降、C子さんと会えば無視されるようになり、廊下の物も片付けられる気配がありませんでした。
私は管理人さんに事情を話し、定例の管理組合で取り上げてもらうことに。
すると他の住民からも「実はうちも迷惑していた」といった声が上がり、C子さん宅の問題がようやく共有されました。
トラブルの先にあった“変化”
その後、管理組合から「共用部分に私物を置かないように」という掲示が全戸に配布され、C子さんも渋々片付けたようです。
無言のままですが、私の前でも頭を下げるようになりました。
子ども同士が顔を合わせたときに交わした「こんにちは」の一言が、なんとなく和らいだ空気を運んでくれて、私も少しホッとしました。
マンションという共同生活の場では、自分にとっての「当たり前」が必ずしも他人のそれと同じではない。この小さな一歩が、また新しい関係を築くための始まりだと感じています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。