これは、知人のA子から聞いた話です。育児と家事に追われ限界を迎えていたある日、夫の何気ない行動に心を揺さぶられ、夫婦の絆を再確認する出来事があったといいます。

限界寸前だった私

出産してからというもの、毎日が育児と家事の繰り返しでした。
夜泣き、オムツ替え、洗濯物の山。
夫は仕事で忙しく、私も夫の忙しさを考えると、いつしか私が一人で全部こなすしかないと、諦めにも似た気持ちを思い込んでいました。
そんな毎日に「私ばっかり……」という気持ちがどんどん膨らんでいきました。

夫の態度に苛立ちがつのる

夫は「ありがとう」「助かったよ」とちゃんと言ってはくれますが、実際に動いてくれるわけではありませんでした。
優しい言葉は心に響きましたが、身体の疲れは取れず……精神的な余裕も失われていたため、夫の言葉を受け止めることすら難しくなっていました。感情をぶつける元気もなく、ただ疲れて寝落ちする日々が続いていました。

静かな夜中、ふと目が覚めたら……

その日もぐったりして寝ていたのですが、ふと夜中に物音で目が覚めました。
何の音かと耳を澄ませると、洗濯機の回る音が聞こえてきたんです。
不思議に思ってリビングを覗くと、夫が一人で洗濯物を畳んでいました。
小さな明かりの下で、黙々と動く姿を見た瞬間、私は何故か涙が止まりませんでした。

翌朝、夫から

翌朝、「ありがとう」と言おうとした私に、夫は「いつも任せっぱなしでごめん。少しでも楽になればと思って」とだけ言いました。
大げさなことじゃない。でも、ちゃんと見てくれていたんだとわかって、心が救われました。
あの夜、夫の行動は私にとって何よりの愛の証でした。そして、言葉も行動も、夫婦がお互いを思いやる気持ちを伝える大切な手段なのだと、改めて感じました。
この出来事があってから、私たちは以前よりも積極的に家事や育児について話し合い、互いに歩み寄れるようになりました。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。