ひとときの「ちょっとした救い」
私の友人Hさんは、シングルマザーとして3歳の息子・Aくんを育てています。数ヶ月前に離婚を経験し、今は仕事と育児を一人でこなす毎日を送っています。久しぶりに会ったとき、Hさんはどこか疲れた様子で、言葉にもその疲れがにじんでいました。
心配になり、「大丈夫?」と聞いたところ、彼女は「自分で選んだ道だから大丈夫。がんばるしかないから」と笑って答えました。しかし、その笑顔が無理しているように見え、私は気になってしまいました。それで「もしよかったら、今度の休みにAくんと一緒にうちに遊びに来て」と声をかけました。
親子で過ごすゆったりした時間
その週末、HさんとAくんがうちに遊びに来てくれました。子どもたちはすぐに打ち解けて、おもちゃで遊んだり、お絵かきしたりと楽しんでいました。私たち母親は、久しぶりにゆっくりお茶を飲むことができました。Hさんは「Aが楽しそうに遊んでいるのを見るのも久しぶり……。私もこんなふうに落ち着いて座っているのはいつ以来だろう」と涙ぐみながら話してくれました。
疲れた日々の中で感じた安堵
Hさんが話してくれたのは、毎朝早く起きてAくんを保育園に送り、仕事をこなし、帰宅後には家事と育児に追われているということ。そんな中で、笑顔で子どもと向き合いたくても、余裕がなくてイライラしてしまうことが多かったそうです。彼女は「私、ちゃんと子どもと向き合えているのかなって不安になることもある。でも、今日みたいに誰かに頼れて、Aが他の子と楽しそうに遊んでいる姿を見られて、ホッとした」と言っていました。
母親としての余裕が生む笑顔
その言葉に、私もハッとさせられました。母親が心に余裕を持てないと、どうしても子どもに笑顔で接することが難しくなります。だからこそ、誰かとつながる時間や、支え合う時間が、子どもにとっても大切な栄養になると感じました。完璧でなくてもいい。ときには肩の力を抜いて、誰かと助け合いながら育っていく。その大切さに気づかせてくれた、大切な午後の出来事でした。
【体験者:40代・主婦、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。