友人Aの話です。
朝、台所で見つけたのは、あの“楽しみにしていたメロンパン”の空き袋──
どうしても納得できず、私は車のキーを握りしめたのです。

昨夜、スーパーで「これがいい!」と子どもたちが嬉しそうに選んだパン。
「メロンパン大好き!」とニコニコしながら口にしていた姿を思い出し、私は言葉を失いました。

このパンをどれだけ楽しみにしていたか、夫は知らないのでしょう。
だからといって、勝手に食べていい理由にはなりません。

子どもの楽しみを奪わないで

「迷っている時間はない!」
車のキーをつかみ、まだ薄暗いなか近所のコンビニに走りました。
似たようなパンを見つけ、なんとか用意はできたけれど……心は晴れません。

夕飯をおかわりしていたのに「お腹すいた」と夜中に起きて、よりによって子どものパンを食べた夫には、やっぱりモヤモヤします。

小さなことかもしれない。
でも、その小さな“楽しみ”が子どもにとっては一日のハイライトだったりします。
親なら、そこにもう少し想像をめぐらせてほしかった。

せめて、子どもの楽しみくらいは

見えるところに置いていた私も悪かったのかもしれません。
子どものためのものだとわからなかったのだとしても、自分の食欲だけで動かないで。
せめて、子どもの分かもしれないと思うものは遠慮しておいてほしかった。

家族のために買ったものを、誰より先に口にするのではなく「これは誰のかな?」と少し立ち止まる気づかいがほしかった。

子どもの小さな楽しみまで、奪わないでほしい。
そんな気持ちを抱えた、ある朝の出来事でした。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。