しかしU子さんが「実は」と話してくれたのは、意外な過去でした。
筆者の友人F子が実際に体験したエピソードをご紹介します。
ママ友U子さんの穏やかさ
幼稚園が一緒のママ友U子さんとは、近所の公園で子連れで遊ぶ仲。
U子さんは、子どもが転んで泣いたら
「痛かったね」
とやさしく寄り添うし、夕方のぐずりタイムもイラつく事なく穏やかに子どもに接しています。
「自分はダメな母」と思えてきてしまう
U子さんのそんな穏やかな笑顔を見るたび、生意気盛りの娘に手を焼いて毎日イライラしている私は
「自分はダメな母だな」
と思えてきて、U子さんと一緒にいると正直しんどい事も。
そんなある日、公園でふたりきりになった時、思わず
「U子さんって、なんでそんなに余裕あるの? 私なんて、毎日怒ってばっかりで、自分が嫌になるよ」
と言うと、U子さんは少し黙ってから、ぽつりと自分の事を話し始めました。
U子さんの意外な過去
「私ね、昔、母にひとりで育てられてたの。いわゆるワンオペ育児ってやつ。母、朝から晩まで働いて忙しくて、家ではいつもピリピリしてて」
意外な告白でした。
U子さんは続けて
「夜ごはんも、いつもひとりで。けど、ある日、母が珍しく、一緒に夜ごはんを食べてくれたの。レトルトカレーだったけど、その時の嬉しかった味が忘れられない」
と話しました。
「完璧な親じゃなくていい」
「だから子どもって、完璧な親ではなくても『あったかい時間』をよく覚えてるものなの」
「だから、自分の子には、少しでもあったかい時間を作れたらって思ってるの。家事とかは手を抜いて、ストレスがたまらないようにしてる」
「うちの家、めちゃくちゃ散らかっているし、ごはんも簡単なものばかり。でも、なるべくご機嫌でいられるようにしているんだ」
U子さんの言葉に、
「そうだったんだ」
と驚いた私。
家事も掃除も片付けも、一度脇に置いてみた
その日、私は家に帰ってから、家事も掃除も片付けも、一度脇に置いて、子どもと床に座って一緒にアイスを食べてみる事に。
すると、いつもは帰宅後はわがまま全開の娘が、不思議と落ち着いた様子を見せました。
夜ごはんも思い切り手抜きをしてみると、私自身も、いつもよりずっと落ち着いた気持ちで過ごせました。
「ちゃんとしなきゃ」
「ちゃんと育てなきゃ」
と肩に力が入っていた私の気持ちを、U子さんの
「完璧じゃなくていい」
「あったかい時間が大事」
という言葉がほどいてくれたのです。
あの時、私の状況を察して、自分の大事な話をしてくれたU子さんに、とても感謝しています。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Sana.Y
医療機関に勤めるアラフォーワーキングマザー。新卒で化粧品メーカーに入社後、結婚出産を機に退職。現在は転職し子育てと仕事の両立に励む。自分らしい生き方を求め、昔から好きだった書くことを仕事にしたくライターデビュー。化粧品メーカー勤務での経験や、会社でのワマザーとしての立ち位置、ママ友との情報交換を通して美容や教育、女性の生き方を考えた情報を発信している。