「嫁は気を利かせて当然」そんな空気に緊張しながら過ごした、義実家への夏の帰省。
筆者の友人A子さんが体験した、ちょっと意外な朝の風景をご紹介します。
筆者の友人A子さんが体験した、ちょっと意外な朝の風景をご紹介します。
麦茶、もうないわよ!
「麦茶、もうないわよ!」
結婚して初めて迎えた夏の帰省。
リビングでひと息ついたそのとき、キッチンから義母の声が聞こえてきました。
その言い方に、「気づいたなら作りなさいよ」という圧を感じ、自然と立ち上がろうとしたその瞬間。
意外にも、夫が先に動きました。
やかんを手に麦茶を作り始める夫の姿に、義父母は顔を上げ、ぽかんとした表情を浮かべました。
夫の動きに驚く義父母の様子を見て、A子さんはふと、あることを思い出しました。
結婚前、夫は実家でほとんど家のことをしなかったと聞いています。
だからこそ、今の姿に義父母が驚くのも無理はないのかもしれません。
義姉が家を出た理由
義姉は、早々に家を出て、ほとんど帰ってこない。
もしかして、あの義母の“察して動け”という空気に疲れてしまったのかもしれません。
そう考えると、その理由にも少し心当たりが持てた気がしました。
その夜、義父とふたりになったとき。
A子さんは「ビール冷えてますけど」と声をかけてみました。
「冷えてるなら早く出せって、義母みたいに言われるかも」
そんな不安を飲み込んで、A子さんはそっと声をかけました。
すると、返ってきたのは意外な言葉。
「A子ちゃん、よく気がつくな。助かるよ。でも、あんたはゲストだから無理しなくていい」
拍子抜けするほど、やさしい声でした。