良好な関係を築きたいと願う「ママ友」。子どものために、親同士も円満に過ごしたいものですよね。でも、相手への気遣いや思いやりが欠けてしまうと、心に深い溝を作ってしまうこともあるようです。今回は友人A子の体験談をご紹介します。

押し付けられたお泊まり会

夏休み目前のある日、ママ友グループで『子ども達にお泊まり会をさせたいね』という話が持ち上がりました。

けれど「誰の家で?」となると、全員が口ごもります。

「うちはマンションだから狭くて」
「うちは下の子がいるし……」
と、もっともらしい理由が並ぶ中、リーダー格のママが私に言いました。

「A子ちゃんの家なら一軒家で広いし、お願いできないかな?」

その一言で、他のママ達も一斉に同調。
娘の「やったー!」と喜ぶ顔を見てしまっては、もう私に断る選択肢はありませんでした。

想像を絶するワンオペ地獄

当日、子ども達は大はしゃぎ。
しかし私は、息つく暇もないワンオペ地獄でした。

子ども4人分の夕食を作り、こぼれたジュースを拭き、お風呂では小競り合いをなだめ、枕投げで興奮の頂点に達した子ども達を寝かしつける……。

その間、ママ友達から届いたLINEは『よろしくね!』の一言だけ。
ようやく全員が寝静まったあと、私はソファに崩れ落ちるように座り込みました。

深夜の発熱と、繋がらない電話

ウトウトしていた23時過ぎ、か細い泣き声で目が覚めました。

あわてて子ども達の様子を見に行くと、リーダー格ママの娘さんが「ママ……」とうなされています。

熱を測ると37.5度。微熱とはいえ、よそ様の子どもです。
すぐに母親の携帯に電話をかけましたが、何度かけても繋がりません。

LINEも既読にすらならず、途方に暮れていた時、飲み会帰りの夫が帰宅。
事情を説明すると、夫の口から信じがたい言葉が飛び出しました。

「さっき駅前の居酒屋から、そのママさん達が千鳥足で出てきて、カラオケに入っていったぞ」

私が下した決断

夫の言葉に、怒りで目の前が真っ暗になりました。
彼女達は私に面倒を丸投げし、羽を伸ばしていたのです。

結局私は徹夜でその子を看病し、翌朝。
約束の時間を過ぎて、のんびり現れたママ友達は、二日酔い気味の顔で「ありがと〜!」と笑います。

私は疲労を隠さず、静かに告げました。
「夜中に熱を出したの。連絡したけど、繋がらなくて」

彼女達の顔から一斉に血の気が引きます。
私は冷え冷えとした声で続けました。

「飲み会、楽しかった?」

彼女達の笑顔が消えた瞬間、私は心の奥でそっと『もうこの人達とは距離を置こう』と決めたのでした。

【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。