子育ての正解は1つではないと頭ではわかっていても、つい「私の時代はこうだったのに」と思ってしまうこと、ありませんか? 今回は筆者の知人が、孫と接する中で【価値観や常識の変化】を実感したというエピソードをご紹介します。

孫のひと言が突き刺さった

その時です。ぐしゃぐしゃの泣き顔で拓也が私を見上げて言いました。

「でもさ、おばあちゃん。ママがね、『悲しい時や痛い時は、男の子も女の子も、泣いていいんだよ』って。我慢しすぎると、心が風邪をひいちゃうんだって」

「心が風邪をひく」……その言葉に、私は凝り固まった頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けました。

私は「男らしさ」という鎧をまとわせ、孫の感情を押し込めようとしていたのです。
A子さんは、目先の体裁ではなく、子どもの「心の健康」という、もっと深いところを見ていたのだと、その時ようやく気づきました。

私が甘やかしと決めつけていたものは、実はA子さんの強い信念に基づく優しさだったのです。

これからは応援する存在に

私は心底恥ずかしくなりました。
自分の古い価値観を孫に押し付け、感情を無理やり抑え込もうとしていたなんて。

「ごめんね、おばあちゃんが間違っていたわ」と拓也を抱きしめると、小さな体が私にぎゅっとしがみついてきました。

姑として口出しするのではなく、これからは彼女の子育てを心から支える存在になりたい。そう強く心に誓った日でした。

【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。