人の行動には、他人が知らない背景や理由があるものです。ほんの一場面、ほんの短い時間を見ただけで「きっとこの人はこういう人なんだ」と決めつけてしまうのは危険なことですよね。今回は筆者の友人の体験談をご紹介します。

声をかけたら、衝撃の真実が

特に、重いポールを必死で支える子どもたちの姿には、ハラハラさせられました。

もう見ていられない……! 夫と目配せし、私は意を決して声をかけました。
「あの、すみません! よかったら、お手伝いしましょうか?」

すると、母親は少し困ったように、でも優しく微笑んでこう言ったのです。

「お気持ちはとてもありがたいんですが、大丈夫なんです。実は私、アウトドア系のインスタグラマーでして……。今日は、『ママと子どもだけでも簡単に設営できるテント』っていうテーマで撮影中なんです」

その瞬間、木陰に置かれた三脚とスマホに気づきました。
私たちが「異常」だと思っていた光景は、コンテンツ制作の一環だったのです。

固定観念を見直すきっかけに

「パパはあえて手伝えないルールなんです」と笑う母親の言葉に、勝手な決めつけをしていた自分たちが猛烈に恥ずかしくなりました。

やがて撮影が終わると、状況は一変。
仁王立ちしていた父親は、誰よりも率先して夕食の準備を進め、子どもたちと全力で遊び始めました。
その姿は理想のパパそのもの。

私たちの思い込みは、見事に打ち砕かれたのでした。

見た目だけで人を判断してはいけない。
思い込みに気づかされた、忘れられないキャンプの夜でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。