最初は戸惑いを覚えたようですが、やがてその光景の裏にある“夫婦のかたち”に気づかされます──。
今回は筆者の知人から聞いた、現代ならではのエピソードをご紹介します。
びっくり!
これは、息子が結婚してからしばらく経った頃に学んだ出来事です。
久しぶりに息子夫婦の家を訪ねた日、私は思わず自分の目を疑いました。
洗濯物を干し、掃除機をかけ、キッチンを片づけていたのは息子。
その間、嫁のA子さんは私たちと談笑しながら、ソファでアイスティーを飲み、くつろいでいるだけだったのです。
固定観念との葛藤
時代遅れな考えとは重々承知していますが、家で男性が動き女性がのんびりする光景が、私としてはとにかく衝撃で仕方なかったのです。
思い返せば、実家では家事なんてほとんどしなかった息子が、このときはまるで主夫のようにせかせか動いているではありませんか!
『さすがにA子さんは甘えすぎていないか?』
『息子が負担を感じていないか?』
余計なお世話ではありますが、ついそんな心配が頭をよぎってしまいました……。
完全分担制
すると、そんな私の心配を見抜いたようにA子さんがこう言いました。
「うちは完全分担制を導入していて」
「私は料理担当」
「今日は作り置きが済んでいるので、彼が自分の仕事をしているだけです」
私もパートとして働いてはいるものの、基本的に家事はすべて私。
主人は家のことは何もしないので、“完全分担制”というワードは聞き慣れないものでした。
そこで後々念のためにと息子にも尋ねたのですが、そんな私の心配を笑って払拭してくれた息子。
「A子の手料理が好きだから」
「俺ができることはやりたいだけ」
「今は男女関係なく協力し合うものだよ」
支え合いが大切
どうやら本当に2人とも納得の上で、お互いの得意を生かして生活しているのだと知った私。
『嫁が息子をこき使っている』なんて勝手に決めつけてしまった自分が恥ずかしくなりました。
息子はしっかり成長し、互いに支え合えるパートナーを見つけたのです。それが何より嬉しかった出来事でした。
【体験者:60代・女性パート主婦、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にltnでヒアリングと執筆を行う。