猛暑のなか冷房がまさかの故障!?
汗と不満が充満する社内で、誰もが「地獄」と嘆いた数日間に、予想外の変化が訪れることに──。
今回は筆者の知人から聞いた、暑さがつないだ職場の絆エピソードをご紹介します。

冷房の故障

真夏のある日、勤務先のオフィスで冷房が突然停止したときの出来事です。

原因は老朽化による故障で、修理には数日かかるとのこと。

それまで閉め切っていたフロアにはあっという間に熱気がこもり、汗だくで働く社員たちはみんな不機嫌に。

急いで窓を開けましたが、猛暑日が続いているなかで涼しい風が気持ちよく入ってきてくれるはずがありません。

扇風機も2台稼働させましたが、冷房がついていたときの過ごしやすさには到底かなうはずもなく……。

無言でとにかく仕事を終わらせようとキーボードを叩きながらも『数日は地獄だ(涙)』と私を含め誰もが感じていました。

若手社員の機転

すると午後、1人の若手社員がまさかの行動に!

「昼休憩中だったので」
「家が近いから凍ったジュースをあるだけ全部持ってきました」
と笑顔で配り始めてくれたのです。

きっと自分用に用意していたであろうに、暑さにやられる同僚の姿を見て『何とか嫌な空気を変えたい』と思ってくれたのでしょう。

自転車通勤の彼は時間の限られているなか急いだようで、額だけでなくシャツにも汗がにじんでいました。

そんな彼からありがたくいただいた冷たいジュースを飲んで、誰もが荒んでいた心が一気に晴れやかになっていくのを感じたのです。

協力体制へ

若手社員の粋な計らいをきっかけに、すっかり元の笑顔が戻ってきたオフィス空間。

翌日からは他の同僚たちも扇風機や冷感スプレーを持ち寄り、徐々に協力体制が整っていきました。

そのおかげか普段はあまり話さない社員とも自然と会話が増え、気づけばいつもの数倍の連携力で仕事が進行していったのです。

新たな絆

冷房が戻った日は、全員から拍手が沸き起こるほどでした。

でも、その一方で誰もが
「同僚と仲良くなれて嬉しかった」
と口にするほどのチームワークも生まれていたのです。

“不快な出来事も、見方を変えれば絆を深めるチャンスになる”

そんなポジティブな気づきを得られた夏のトラブルでした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にltnでヒアリングと執筆を行う。