「うちの嫁はこうあるべき」が口グセ
結婚して半年。私は、毎月のように義実家に顔を出していました。
義父は穏やかで接しやすい方でしたが、義母は少し昔気質なところがありました。
「うちはこうだから」「昔からそうなの」と、“自分流”を貫くタイプで、料理の味つけから洗濯物の干し方まで、細かく口を出されるのが常でした。
ある日、親戚が来る前に、すぐにおもてなしができるように少し早めにお茶を出すと、義母は「そんなことしたら親戚に恥をかかせるでしょ」と叱られました。義母は家柄や体面を重んじる方なので、自分の考える「完璧なタイミング」以外で私がお茶を出したことで、“できない嫁”と見なされるのでは、と心配したようです。
私のやり方が間違っているわけではないのに、毎回「うちではこうするの」と言われるたびに、モヤモヤした気持ちが募っていきました。
限界超えた! お盆事件勃発
その日はお盆。親戚が集まる中、私は台所で料理の準備をしていました。
盛りつけの仕方を工夫すると、「見栄えが悪いから、うちではこうするのよ」と遮られ、別の皿に差し替えられる始末。
さらに親戚が見守る居間で、「ほんと気が利かないわね」と言われ、場が一瞬シンと静まり返りました。私は盛り付け中の手を止め、その場に立ち尽くしました。
それでも義母は悪びれる様子もなく、「だから嫁は、うちのやり方に従ってくれなきゃ困るの」と続けたのです。
B子の言葉が場の空気を変える
私は思わず口を開きました。
「お義母さん、“うち”って言いますけど、私にも“うち”があるんです」
その瞬間、義母は一瞬きょとんとした顔に。私は続けました。
「私は私の“うち”で育ったやり方を大切にしてきました。それを全部捨てて、こっちに合わせるのが当然だと言われるのは、少し違うと思います」
声は震えていましたが、心からの言葉を伝えることができました。
驚きの展開と、関係性の変化
すると義父が「まあまあ、いろんな“うち”があるってことだな」と笑って場を和ませてくれました。
義母も少し間を置いてから、「まあ……そうね」と小さくうなずいたのです。
その日以降、義母は細かな口出しをしなくなり、私のやり方にも少しずつ理解を示してくれるようになりました。
私はこの体験から思いました。
黙って我慢しているだけでは、関係は変わらない。
でも、相手を傷つけずに自分の考えを伝える勇気があれば、義実家との関係も少しずつ良い方向へ進んでいける。
そう実感した出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。