きっかけは、ある日突然
娘が中学2年生になって間もないある日、「学校に行きたくない」と珍しく泣きながら言い出しました。
理由を聞くと「私がB子ちゃんにひどいことを言ったって、みんなが言ってる」とのこと。
娘は何のことかわからず、B子ちゃんとも普通に接していたつもりだったようです。「私、何か悪いことしたのかな」と、娘の戸惑いは見ていて明らかでした。
無視していたのは“気づかなかった”だけだった
数日後、担任を交えて話し合うと、発端はB子ちゃんが「A子ちゃんに挨拶したのに、無視された」と周囲に話したことだったようでした。
実際には、A子はイヤホンをしていて気づかなかっただけだったのですが、その話が「A子はB子を嫌ってるらしい」という噂に変わって広がっていたのです。娘は思わぬ誤解にショックを受け、ますます声が出なくなっていました。
親として心がけたこと
私は担任と何度も連絡を取り合い、娘の気持ちを少しずつ聞き出しました。
「説明しても信じてもらえない」とすっかり傷ついていた娘に、私はあえて、「このまま誤解されたままでいいの? あなたの気持ちをちゃんと伝えないで後悔しない?」と、娘がこの困難を乗り越える力を信じて、少し厳しく問いかけたこともあります。
それでも、私は娘の側に立ち、否定せずに話を聞くことだけは心がけました。
向き合う勇気が、少しずつ空気を変えた
ある日、娘が「B子ちゃんに連絡してみる」と言い出しました。
短く、「無視したつもりはなかった、ごめん」とだけ伝えたそうです。
するとB子ちゃんからも「私もごめん」と返事が来て、翌日から少しずつ雰囲気が変わっていきました。
後で聞くと、B子ちゃんも「まさかイヤホンをしていただけだったなんて」と驚き、今回のことで自分も少し周囲に流されてしまったと感じていたようです。担任の先生がクラスの状況をより注意深く見守ってくださったことも、良い方向に進むきっかけになったのかもしれません。
完全に元通りではないけれど、あの“誰も話を聞いてくれなかった日々”から抜け出せたことが何よりの一歩でした。
娘が少しずつ友達と笑顔で話すようになり、以前の明るさを取り戻していく姿に、私は心から安堵しました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。