混雑する回転寿司店で
ある週末の出来事です。私は家族と回転寿司店に出かけました。
週末ということもあり店内は大勢のお客さんで賑わっていました。案内されたボックス席につき、何を食べようかなとタッチパネルを眺めていた時のことです。
「はーーっくしょい!!」
後ろのボックス席から、男性の豪快なくしゃみの音が聞こえました。背を向けていたので見えてはいなかったのですが、鼻と口を覆っていなかったのではないかと思うほど豪快な音でした。
その回転寿司店は、タッチパネルで注文するごとにレーンに乗って商品が運ばれてくる仕組みです。
ちょうどこの時レーンには何も流れていませんでした。
突然のくしゃみの音に驚きましたが、気を取り直して注文をしようとしたその時。
くしゃみ再び
先ほどと同じ男性と思われる大音量のくしゃみが再び響き渡りました。
加えて1回出始めたら止まらなくなってしまったのか、3回、4回と続きます。
店内は混雑しているので、今このタイミングでお寿司が流れてきたら、お寿司に飛沫が飛んでしまうのでは……周囲の状況は気にならないのだろうか?
そう思い、後ろを見やった時です。
小さな救世主登場!
「あのね、くしゃみをする時はこうやってお口を押さえるんだよ」
近くの席からひょいとやって来た4、5歳の男の子が、自分の口を押さえながらそう言ったのです。
きっとご家庭などでそうするように教わったのでしょう。
男の子に指摘された後、タイミングもあったのか男性のくしゃみは止まり、その後は静かになりました。
公共の場でのルールやマナーは、年齢に関係なく、誰もが意識し、守るべき大切なことだと改めて考えさせられました。この小さな「救世主」の行動は、私たち大人にとっても、周囲への配慮がいかに重要であるかを教えてくれる貴重な学びとなりました。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:田辺詩織
元医療事務、コールセンター勤務の経験を持つ在宅ワーカー。文学部出身で、文章の力で人々を励ましたいという思いからライターの道へ。自身の出産を機に、育児ブログを立ち上げ、その経験を生かして執筆活動を開始。義実家や夫、ママ友との関係、乳幼児期から中学受験まで多岐にわたる子育ての悩みに寄り添い、読者が前向きになれるような記事を届けている。