「親への態度には、その人の本性が現れる」。よく聞く言葉ですが、恋をしているときほど、そんな忠告が耳に入らなくなることがあります。
筆者の知人A子も、20代のころ交際相手の家庭での姿に違和感を覚えながら、それを見過ごしてしまった1人でした–––。
筆者の知人A子も、20代のころ交際相手の家庭での姿に違和感を覚えながら、それを見過ごしてしまった1人でした–––。
夢中になった彼との日々
彼と出会ったのは、友人に誘われて参加した合コンでした。場を盛り上げるのが上手で、それでいて私の話にもきちんと耳を傾けてくれる人。
何より印象的だったのは、毎回のように「今日は全部出すよ」とスマートに支払いを済ませる姿でした。そんな彼に、私はどんどん惹かれていきました。
交際が始まると、まるで夢のような日々。ちょっとした体調の変化にも気づいてくれたり、サプライズのプレゼントがあったり。
「この人となら、きっと幸せになれる」。そんな確信のようなものを抱いていました。
実家で見た「もう一つの顔」
付き合って数ヶ月が経ったころ、彼の実家へ挨拶に行くことに。少し緊張しながら訪ねたその日、私は思いがけない光景を目にしました。
「喉乾いた、水」「暑い、エアコン付けて」
彼は母親に対して、終始命令口調だったのです。
その場では言えず、帰り道に
「いつも家ではあんな感じなの?」
と尋ねました。すると彼は笑いながら、
「母親だから普通でしょ。金も渡してるし。A子には絶対あんな態度しないよ」
と答えました。
どこか引っかかるものはありましたが、「私には違う」と自分に言い聞かせてしまったのです。