「ちょっとだけなら大丈夫」と思ってしまうこと、子育て中の方なら一度は頭をよぎったことがあるかもしれません。でも、その少しの油断が大きな事故につながることもあります。筆者の知人A子の体験した出来事から、大人の判断の重さを改めて考えさせられました。

母親の表情に、思わず胸が痛んだ

店内放送で呼び出されたのは、30代くらいの女性でした。息を切らせて駆け寄りながら、車内をのぞくなり、顔を曇らせました。
「2人とも寝ちゃって……ほんの少しのつもりだったんです」
そう言って、申し訳なさそうに深く頭を下げました。

スタッフの方は、静かな声でこう伝えていました。
「お気持ちは分かります。ただ、『ちょっとだけ』が、取り返しのつかないことにつながることもあるんです」
責めるわけではなく、心からの声かけだったように思います。

後悔しない選択を信じたい

もしかすると、あの女性は通報されたことを迷惑に感じたかもしれません。けれど、子どもたちが無事でいてくれた–––。

その事実が何よりの救いでした。

あのときの判断が正解だったかは分かりません。でも、「もしも」の後悔より「迷いながらも動いた」方がずっと後味が良い。そう思えるのです。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。