子を持ってわかる親のありがたみ
Aさんはごくごく普通の家庭で育ち、30歳で結婚をしました。結婚し子どもに恵まれてから、Aさんの中で大きくなったのが親への感謝の気持ちです。
自分が実際に子どもを育ててみることで、親はこんなにも大変なことをしてくれていたんだと実感し、自分が親にどれだけ愛情を持って育てられていたかがわかったのです。
これまでもAさんは親に感謝の気持ちは持っていたつもりでしたが、出産後はさらに感謝の気持ちが強まりました。
親孝行させてください
両親への感謝の気持ちは日々高まります。自分が親となってもまだまだ両親のことを頼っていて、子育ての悩みを相談したり、子どもを預かってもらったりしていました。
両親に世話になりっぱなしのAさんは、親孝行がしたいと考えるようになります。
そこで母の日、父の日に贈り物をしたり、両親も含めた家族旅行に誘ったりしてみました。
両親は贈り物を受け取ってくれて、旅行にもついてきてくれますが、決して費用をAさんに払わせようとはしませんでした。
贈り物をすればそれ以上のものを返してくるし、旅行代金の支払いは自分でしてしまいます。
親孝行をさせてくれないのはなぜ?
Aさんが親孝行をしようとしても、両親はそれを拒否し続けました。「お願いだから親孝行させてよ」とAさんが言うと、母は「自分の子どもにしてあげなさい」と言いました。
母「親にしてもらったことをありがたいと思っているのなら、自分の子どもに同じようにしてあげなさい。その姿を見せてくれるのが一番の親孝行なのよ」
母は物やお金での親孝行は求めていなかったのです。自分からもらった優しさを、次の代へ受け継いでいくことこそが母が望んでいたことでした。
両親の思いをつないでいく
母の言葉を聞いたAさんは、もう無理に親孝行をしようとすることはやめました。母の言葉通り、親からもらった優しさは、そのまま子どもに与えようと思ったのです。
両親からもらった優しい気持ちがこの子にも伝わりますように。そして、この思いが子や孫、子々孫々につながっていきますように。
Aさんは今日も心を込めて、母がしてくれたように子育てをしています。そして子育てを頑張るAさんを見る両親の表情はとても幸せそうです。物で返すだけが親孝行ではないのですね。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:安藤こげ茶
自身も離婚を経験しており、夫婦トラブルなどのネタは豊富。3児のママとして、子育てに奮闘しながらもネタ探しのためにインタビューをする日々。元銀行員の経験を活かして、金融記事を執筆することも。