忙しさに追われる毎日
私は小さな子どもを育てながら、仕事と家事に追われる毎日を送っていました。
夫は優しく誠実な人ですが、帰宅が遅いこともあり、家事や育児については「自分が無理に出るより、妻に任せた方がうまくいく」と思っていたようです。
実際、私は家のことをきちんとこなそうとするタイプで、細かいところまで気を配っていたため、夫は「自分が手を出すと余計に負担をかけてしまうのでは」と遠慮していたのかもしれません。
また、自身の育ってきた環境からか「育児は妻がメインでやるもの」という意識が無意識のうちにあったのかもしれません。
私も「自分が頑張らなきゃ」と、助けを求めることができませんでした。
頼ることは甘えのように感じてしまっていたのです。
そんなある日、ついに心も体も限界を迎えてしまいました。
ふとした夫の言葉
その日も、いつものように子どもを寝かせた後に洗濯物を干していたとき。
ぼんやり立ち尽くしていた私の背後から、夫がそっと「無理しなくていいよ」と声をかけてくれたのです。
一瞬、心に優しい何かが流れ込んでくるのを感じました。
その表情からは、夫なりに私のことを案じ、どうすれば良いか考えてくれていたことが伝わってきました。
「私、ちゃんと見てもらえてたんだ」
そう思った瞬間、張りつめていたものがふっとほどけ、涙が止まりませんでした。
心の支えとなった夫
それ以来、夫は以前よりも積極的に家事や育児を手伝ってくれるようになりました。朝、夫が率先して子どもの朝食を用意してくれるようになったり、私が洗い物をしている間に子どもをお風呂に入れてくれるようになったり、小さなことですが、その一つ一つが大きな支えとなりました。
何かを言うわけではなくても、その行動からは「一緒に頑張ろう」という気持ちが伝わってきます。
私自身も、ありがとうや助かったよ、を少しずつ口に出せるようになっていきました。
夫婦の絆が深まる
今では、お互いの気持ちを言葉にして伝える時間を意識的に持つようにしています。
あのときのさりげないひと言がなければ、私はもっと孤独な気持ちを抱えたままだったかもしれません。
夫の優しさに支えられ、私たちは“家族”としてのチームワークを深めていけた気がしています。
無理をしすぎず、頼り合うことの大切さを学んだ夜でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。