「がんばろう」から抜け出せない娘
娘の小学校には、算数の理解度に応じた少人数制のクラス分けがあります。「できる」「ふつう」「がんばろう」と名付けられたそのクラスは、子ども一人ひとりのペースに合わせた丁寧な指導を目指していると聞き、当初は良い取り組みだと感じていました。
でも、学年が上がっても娘はずっと「がんばろう」クラス。
娘自身は、そのクラスにいることを特に気にしていないようでしたが……。宿題を一緒に見ていても、理解できる日もあれば、びっくりするような間違いをする日もあって、私はだんだん焦るようになっていきました。
「まあそのうち上がるよね」なんて楽観していたけれど、変わらない現実。
それどころか、「このまま“がんばろう”から上がれなかったらどうしよう」と、じわじわと不安が募っていきました。
授業参観で目の当たりにした“レベルの差”
そんなある日、夫婦で算数の授業参観へ。
娘はやっぱり「がんばろう」クラス。集中しているようにも見えるけれど、発言もせず、淡々と問題を解いています。
「できる」クラスを見に行くと、子どもたちは別の解き方を提案したり、発展問題に挑戦したりと、まるで別世界。
夫の一言に思わず
参観の帰り道、思わず夫に言いました。
「娘、ずっと“がんばろう”クラスだよね……。ちょっと心配になってきた」
すると夫はあっさりこう言ったのです。
「大丈夫でしょ。勉強できなくたって、生きていけるって」
夫の言葉は、娘を思う気持ちから出たものだと理解はできたものの、私自身の焦りと、娘の将来に対する漠然とした不安が重なり、つい感情的になってしまいました。
「え? 何が大丈夫なの? 大丈夫って言葉、私には少し無責任に聞こえるんだけど!」
夫は黙っていましたが、私の気持ちは収まりませんでした。
私は娘の“がんばろう”に付き合って、何度もやり直して、ヒントを出して、イライラして、それでも投げ出さずにここまでやっているのに。