住民の憩いの場
私が住むマンションには、2棟の建物の間に緑道とベンチが整備された、ちょっとした公園のような共有スペースがあります。
子どもが三輪車を走らせたり、ご高齢の方が日向ぼっこをしたり。住人の憩いの場として、大切にされている場所です。
消防車が到着
そんなある日、近いサイレンの音に驚いてベランダから外を見ると、なんと消防車が到着。
騒然とした雰囲気に、「まさか火事!?」と焦り、マンションの外へ避難しました。
ところが、火の手も煙も見えません。
何があったのかと様子を見ていると、警察から事情を聞かれている若い住人が。
聞けば、その共有スペースで4家族が炭火でバーベキューをしていたというのです。
煙とにおいが立ちこめたことに気づいた別の住人が、「火事かも」と通報したことで、消防が出動する事態になったようでした。
共有スペースは火気厳禁
驚いたのはここから。
バーベキューをしていたうちの1人が、警察に向かって「たかがバーベキューで通報なんてさ、おかしな奴もいるんですよ!」とぼやき始めたのです。
いやいや、“たかが”どころか、ここは火気厳禁。ちゃんと掲示板にも明記されているし、入居時の説明にもありました。
私はここに住んで長いですが、消防車が来たのは初めてのこと。近隣住民はみな騒然として、子どもたちも怖がっていました。
その後の対策は?
物件によっては、共用スペースでのバーベキュー等が許可されているところもあると聞きます。
しかし、火気厳禁と明示されているこの物件では、いくら粘っても許可は下りないでしょう。
それでも当の本人達に反省の色はなかったようで、なんとかバーベキューを続けようとしばらくゴネており、管理人さんと警察官も困っていたようでした。
その後、私も参加したマンションの自治会内の会議で、掲示板だけの案内では足りないと「火気厳禁」の立て看板が設置されました。それからバーベキューをする人は現れていません。
行き過ぎた自分勝手な人が一番の火種かもしれない。たった一回のバーベキューがこのように多くの人々を巻き込む騒動となる光景を見て、そう痛感した出来事でした。
【体験者:50代・主婦、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。