小学校に上がると、登下校時など親と一緒に行動しない時間が増えていきます。学校から帰宅後も1人で遊びに行きたがる子どもを前に、子どもの自立を促したい気持ちと、万が一の事故を心配する気持ちの間で揺れ動くママも多いでしょう。今回は私の友人A子さんから聞いた、息子を1人で自転車で遊びに行かせた結果、思わぬ形で息子が帰って来た話を紹介します。

早速自転車で出かける息子

ある日、初めて同級生のSくんと一緒に遊ぶ約束をしてきた息子。意気揚々と自転車で出かけて行きました。

しかし夕方、A子が夕食の準備をしていると、いきなり玄関のチャイムが鳴り……。どちら様かと思いきや、そこにはSくんのママの姿が。ママとは初対面だったのでびっくりしましたが、なんとA子の息子の自転車を車に乗せて、A子の自宅まで送ってくれたのです。

お友達のママが心配して……

ママは、自転車で帰るというA子の息子のことがとても心配で送って来てくれたそう。A子の息子も、送ってくれるというママの言葉に甘えてしまったとのことで、A子はとても申し訳ない気持ちになりました。確かに、歩道が整備されていない道や道幅の狭い道も多い地域なので小学校低学年の子が自転車に乗って1人で移動することを早いと考えているママはクラスにも多く……。

A子としては、自転車に乗るときのルール等を十分言い聞かせたつもりでおり、安全には配慮したつもりでした。しかし、遊ぶ友達によっては、その子の親の方が心配してしまうこともあるのだということをこのとき初めて気づきました。今回の出来事を通じて、親同士の価値観や、地域全体での子どもの安全への意識の違いに直面しました。時と場合によっては、遊ぶ場所まで車で送迎する必要があるのかもしれないと感じ、親として反省したA子でした。

Sくんのママは、わが子のことのようにA子の息子さんの安全を心から心配してくれたのでしょう。単なる優しさだけでなく、地域ぐるみで子どもを見守る温かい眼差しを感じました。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:ichika.K
2児の育児を機に、ママの悲喜こもごもを描くライターとしての活動をスタート。子育てメディアなどの執筆を経て、独立し現在はltnでコラムを連載中。大手企業の総合職でのOL経験、そこから夫の単身赴任によりワンオペでの育児を行った経験から、育児と仕事を両立するママの参考になる情報を発信すべく、日々情報をリサーチ中。