視線が突き刺さった式典の日
「それで、大丈夫……?」
声には出さずとも、周囲の視線がそう言っているように感じたあの日。
私は人生で一番、「服装選び、完全にミスった!」と後悔しました。
息子が通う中学校で、私はPTAの役員になりました。任期中にちょうど学校の記念式典があり、保護者代表として出席することに。
「式典ですので、ふさわしい格好でお願いします」とだけ言われた私は、正直、油断していました。
“フォーマル”で挑んだ私の油断
入学式や卒業式では、きちんと感がありつつも、少し今どきのおしゃれを重視した服装のママたちが多い印象。ジャケットなしのブラウスにベスト、パンツスタイルで品よくまとめている人も少なくありません。
私の中で学校行事といえばその印象が強かったため、今回の式典も華美ではないフリル付きブラウスとシンプルなパンツで参加したのです。色味も控えめで上品さを意識したつもりでした。
ところが。当日、会場に着くと、目に飛び込んできたのは……。
校長先生のモーニング、スーツでバシッと決めた先生方、ピシッとした上下スーツの保護者たち。
本格的な式典の雰囲気は、まさに“ガチ”フォーマル空間。
そのため、私の服装は、この時ばかりは完全に浮いてしまっていたのです。
刺さる視線と空気
「こんにちは〜」と声をかけられるたび、一部の人の視線が一瞬、私のブラウスと足元を上下に泳ぐのを感じます。
「えっ、その服で来ちゃったの?」という空気がジワジワ伝わってくるようで、式典中も「この場にご出席の保護者の皆様が……」という紹介に、なんだか恥ずかしい気持ちでいっぱいに。
1人だけ違う服装に、穴があったら入りたいとはまさにこのことでした。
「その場の正解」とは
この経験で痛感したのは、「ふさわしい格好」の基準は、場によってまったく違うということ。
自分の経験や最近の流行だけで判断せず、“その場のルール”は事前にしっかり確認しておくべきでした。
次に同じような場に呼ばれたら、私は迷わず先輩保護者や先生に確認します。
自分の“感覚”だけでは、その場の雰囲気とズレてしまう恐れがあると身にしみた出来事でした。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。