スマホを手にした子どもたちの世界は、親が想像するよりも早く広がってしまうものです。小さな好奇心から起こる“うっかり”が、大きな問題に発展することもあります。今回は子育て中の友人の体験談をご紹介します。

突然のDM

「お母さん、どうしよう……!」
先日、中学生の娘が不安げな表情でスマホを差し出してきました。

そこには、見知らぬアカウントから届いたDMが。
内容は、「あなたがアイコンに使っているのは、私が描いたイラストです。無断使用はやめてください」という、冷静ながらもはっきりとした指摘。

なんと、娘はその方が描いたイラストをSNSのプロフィール画像として使うことで、著作権を侵害していたのです。

軽い気持ちが招いた思わぬ事態

詳しく聞くと、娘は数日前にSNSで見かけたイラストに一目惚れ。
深く考えずに画像を保存し、自分のSNSアカウントのアイコン画像に設定してしまったといいます。

動揺しそうな気持ちを抑え、私は「大丈夫、一緒に謝ろう」と娘に声をかけました。

まずは、娘と2人で誠意を込めた謝罪メッセージを作成。
「著作権について理解しておらず、本当に申し訳ありませんでした」という娘の言葉に加え、私からも「監督不行き届きでした」と謝罪しました。

親子で学んだ著作権の大切さ

数日後、イラストの作者さんからお返事が届きました。

そこには「謝罪ありがとうございます。すでにアイコンも変更されているようなので、今回は大丈夫です」と、驚くほど寛容で温かな言葉が綴られていました。

私たちは心から安堵し、娘も「もう2度とこんなことはしない」と深く反省。
クリエイターの権利を守ることの大切さを実感していました。

間違いを学びに変えて

この件をきっかけに、親子で著作権について学び直しました。
図書館で本を借りたり、ネットで調べたり、時には話し合ったり。

やがて娘は「自分でも描いて投稿したい」と言い始め、今では自作のイラストをSNSに公開しています。

娘のしたことは、決して軽視できるものではありません。
でも、起きてしまったことから逃げずに親子で真摯に向き合うことで、それは学びとなり、成長の糧になるということを実感した出来事にもなりました。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。