子どもの成長は嬉しいものですが、反抗期を境に急によそよそしくなったり、ぶっきらぼうになったりすると、成長過程の一環だとわかっていても、戸惑ってしまうこともあるのではないでしょうか。今回は筆者の友人の体験談をご紹介します。
隠れた優しさ
反抗的な息子ですが、私が出す食事だけは、文句を言わずに全部食べてくれるのです。
会話はなくても、お茶碗の白いごはんを一粒残さずきれいに食べ、おかわりまでする日もあります。
数日前の夕食時のことです。
息子の好物の唐揚げを出すと、無言で次々と口に運び、空になったお皿を、音を立てないようにそっとシンクへ。
そして、私に聞こえるか聞こえないかくらいの小声で呟いたのは、
「あーうまかった。ごちそーさん」
という言葉。
その瞬間、ハッとしました。
不器用な「ありがとう」に救われる毎日
反抗期は、つい言葉や態度のトゲトゲしさに目がいってしまいます。
でも、息子なりの優しさや「ありがとう」は、あちこちに潜んでいるのです。
私が毎日作るごはんを、黙ってきれいに食べてくれること。それが、今の息子にできる最大限の感謝の表現なのかもしれません。
そう思えたとき、息子の少し大人びた背中が愛おしく見え、少し心も軽くなったのでした。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。