子守りを頼まれたのは、【私の夫】でした
「子供たちは、あなたのご主人に見てもらうつもりなんだけど、いいかな?」
M美は悪びれる様子もなく、さらっとそう言ったのです。
突然の提案に私は言葉を失いましたが、人の良い夫は「まぁ、ランチの間だけなら」と、戸惑いつつも引き受けてくれることに。
そして当日。
夫が我が子2人とM美の子2人、計4人の子供たちの世話に奮闘していると思うと申し訳なく、後ろめたい気持ちでランチへ。
そんな私の気持ちなどお構いなしに、M美は幸せオーラ全開。
「彼、すごく優しくて〜」
「こんなデートもしたの♡」
「子供たちともすごく仲良しでね!」
と、ノロケ話が止まりません。私は何とも言えない気分に……。
え? 聞いてませんけど!?
ようやくランチを終え、「じゃあ、そろそろ帰ろうか」と声をかけたとき、M美は信じられない一言を放ちました。
「ここで解散にしよ♪ このまま彼氏とデートさせてもらうね。子供たちは夕方に迎えに行くから!」
……えっ?
呆気にとられる私を残し、彼氏と仲良く去っていくM美。
なんとも言えない置いてけぼり感と、夫への申し訳なさで、帰り道はどっと疲れが出ました。
恋する気持ちは応援したいけれど
シングルマザーだって恋愛する権利がある。だからこそ、私は彼女の幸せを応援していました。
でも、その幸せのために誰かが無理をしたり我慢するのは違うと思うのです。
それから数週間後、またM美から「今度はもっと長く彼と過ごしたいから子供たちをお願い」と連絡が来ました。
でも、私も夫も前回のことでかなりストレスを感じていたので、やんわりとお断りしました。
恋する気持ちは素敵です。でも、周りへの気遣いも同じくらい大事なことのはず。
今は、M美と距離を取っています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。