新しい事に挑戦するときは、期待と同じくらい不安がつきものですよね。予期せぬトラブルに見舞われる事もしばしばです。けれど、予想外の救世主に救われる事もあります。今回は、友人が体験したエピソードをご紹介します。

意外な救世主

もう諦めてタクシーを拾おうか、そう思ったとき、少し離れた場所から女子高生がこちらをじっと見ている事に気づきました。

「機械に弱いって思われてるんだろうな」と勝手に思い込み、恥ずかしさで顔が熱くなるのを感じながらうつむいていると、次の瞬間、「あの……」という遠慮がちな声が。

顔を上げると、声の主は先ほどの女子高生。

「それ、アプリの更新してからじゃないと反応しないんですよ」
と、彼女はスマホ画面を覗き込み、落ち着いた手つきで私の操作を手伝ってくれました。

思わぬ優しさに感謝

「私も最初、ぜんっぜん分かんなくて」と笑う彼女の表情には、からかいの気配など一切なく、純粋な親切心が伝わってきました。

きっと彼女は、困っている私を見て、声をかけるかずっと迷ってくれていたのでしょう。
その事に気づくと、「馬鹿にされているのかも」という自分の思い込みが恥ずかしくなりました。

無事にロックを解除できて、女子高生にお礼を言うと、彼女は「気をつけて行ってくださいね」とひらひらと手を振り、颯爽と去っていきました。

見知らぬ土地で感じていた不安が、ふっと和らいだ瞬間でした。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。