自身の昇格をきっかけに、高級時計を欲しがり始めた夫。
ペアで大切にしていた時計は、いつの間にか棚の奥に……記念品をめぐる出来事で、夫婦の価値観に小さなズレを感じました。
昇格とご褒美の提案
転勤族の夫と二人暮らし。
ある日、夫の昇格が決まりました。
頑張っていたのは知っていたので、私は素直に「おめでとう」と伝えました。
すると夫は「せっかくだからご褒美がほしいな」と言い出しました。
お給料も上がるのだし、気持ちはわかります。
「記念になるものが買いたい」と言う夫に「まあ、いいんじゃない?」と軽く返してしまったのがいけなかったのかもしれません。
盛り上がる夫と戸惑い
それから夫は、今まで見たこともない高級時計の専門誌を買い込み、毎日のようにページをめくってはうれしそうに眺めていました。
「この間、お店にも行ってきたんだ」と、休日出勤の帰りに店舗に立ち寄っていたことも発覚。
どうやら気持ちはすっかり盛り上がっているようでした。
私が「何を買うの?」と聞くと、雑誌を指さし「これがいいかなって思ってる」と真剣な表情。
思っていたよりも高い金額に驚き言葉を失いました。
しかし、それを了承と受け取ったのか、夫は相談もなくボーナスの半分を使って、海外ブランドの時計を購入してきたのです。
過去の思い出とのギャップ
私には時計の良し悪しがわからず「男のステータスなの?」と首をかしげるばかり。
「いい物を買ったな」と喜んだのは義父くらいでした。
夫は、それまで付き合い始めにお互い贈り合ったペアの時計を大切に使ってくれていました。
あの時は、交際初期に高価な時計を贈ることに戸惑いもありましたが、夫が大事にしてくれる姿に「買ってよかった」と思えたものでした。
変わってしまった「大切なもの」
ところが今、そのペアウォッチは棚の奥にしまわれたまま。
新しく手に入れた高級時計ばかりを眺める夫の姿に、私はなんだか取り残されたような気持ちになりました。
自分のご褒美に酔いしれ、ボーナスの使い道を勝手に決めるようになった夫。
支えてきたつもりだったけれど、私の気持ちはどこへ行ったのだろう。
お互いにとっての「大切なもの」が、少しずつ変わってしまったように感じた出来事です。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。