忘れられない夜の出来事
あの日は、些細なことから息子が大泣きしてしまい、私も限界でした。
夕食の準備中におもちゃが壊れたことで、息子が泣き出し、私はイライラが募って声を荒げてしまったのです。
その場を取り繕うように夫に助けを求めましたが、正直、期待はしていませんでした。
夫の対応に戸惑う私
すると、夫は無言で息子のそばにしゃがみ、ゆっくりと語りかけはじめました。
「壊れて悲しいよな。でもママ、頑張ってご飯作ってくれてるんやで。パパも手伝うから、一緒にママを応援しようか」その言葉に、泣き声がピタリと止まり、息子は夫にしがみつきました。
私はそれをキッチンから見ていて、胸がぎゅっと締めつけられる思いがしました。
私が知らなかった夫の優しさ
夫は決して感情を大きく出すタイプではなく、これまではどこか距離を感じていました。
けれどこのとき、私と息子の間に自然と入って、どちらの気持ちも否定せず、ただ寄り添ってくれたことが、何より嬉しかったのです。
夫婦で親になるということ
その夜、夫が「最近無理させてしまっていたのかもな。ごめん。いつもありがとう」とぽつりと話してくれました。
私たちは夫婦で、そして親として、互いに支え合わなければいけないのだと気づかされました。
私も無理せず、つらいときは夫を頼ろう。
夫も”これからは言われなくても家族と向き合う”と約束してくれました。
それまで家族との距離感が上手く取れなかった夫は、完璧な父親ではなかったかもしれません。
ですが、しっかりやっていると思っていた私自身も同じく完璧ではなかったのです。
ただ家事や育児を手分けするだけでなく、まずはお互いに心を通わせることの大切さを知った日でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。