日々に追われ、心が疲弊していたA子さんは、数年ぶりに実家に帰省しました。
ずっとそこにある、懐かしい風景と家族の優しさに包まれて過ごす中で気づかされたのは――?
ずっとそこにある、懐かしい風景と家族の優しさに包まれて過ごす中で気づかされたのは――?
日々に追われ、彼とも破局
社会人になって家を出てから、もう10年以上が経ちます。
実家はそれほど遠くないのですが、「いつでも帰れる」と思うと、つい後回しにしてしまい、ずいぶんと長いこと帰省していませんでした。
実は最近、長く同棲していた彼と別れたばかりの私。
そろそろ結婚かな、と思っていた矢先、「君といると、なんだか休まらない」と言われてしまったのです。
その一言によって、私たちの関係は急激にギクシャクし、それからお別れまではあっという間でした。
久しぶりの帰省
かといって仕事も忙しく、悲しみに浸る暇すらありません。
毎日少しずつ、心がすり減っていくような感覚がありました。
母から一本の電話がかかってきたのは、そんなときでした。
「最近どうしてるの? たまには帰ってきたら?」
忙しい私を気遣ってか、母からこんな風に電話をかけてくることはめったにありません。
今思えば、親の勘というものだったのかもしれませんね。
なんだか急に家族の顔を見たくなった私は、久しぶりに実家へ帰ることにしたのです。