今回は、知人のA子さんに聞いた「子ども同士のトラブル」にまつわるお話をご紹介します。息子の涙の理由に戸惑いながらも、母としてどう寄り添うべきかを考えさせられた出来事でした。

楽しいはずの放課後に

ある日の夕方、小学1年生の息子が玄関の扉を勢いよく開けて帰ってきました。
荷物を投げるように置いて、無言のままリビングに直行。その目には涙がにじんでいました。
どうしたの? と声をかけても、「何でもない」と首をふるばかり。
私は黙って隣に座り、しばらく頭を撫でて待つことにしました。

小さな喧嘩、大きな後悔

ようやく息子がぽつぽつと話し始めたのは10分ほどたってから。
「今日ね、公園でCくんにブランコ押してって頼まれて、でもぼく先に遊びたくて、ちょっときつく断っちゃった。そしたらCくん、泣いちゃって帰っちゃった……」
胸がぎゅっと締めつけられるようでした。
息子は「ごめんねって言おうとしたけど、言えなかった。」とまた泣き出しました。
私は、うんうんと頷くだけで、叱ることはしませんでした。

自分で選んだ一歩

その夜、息子が自分から「明日、Cくんに謝る」と言ってきました。
無理に言わせたわけではなく、自分の気持ちから出た言葉に私は驚きました。
翌朝、登校前の息子はいつもより少し緊張した顔で靴を履きました。
私は「大丈夫。言えたら、それで立派だよ」とだけ声をかけました。すると、小さく頷いて家を出ていきました。

子どもは子どもから学ぶ

その日の放課後、息子は笑顔で帰ってきました。
「Cくん、「ぼくもごめんね」って言ってくれた!」と嬉しそうに話してくれました。
私は、ただ頷いて話を聞くだけで精一杯でした。
子ども同士のトラブルは親として心配にもなりますが、だからこそ彼ら自身の心で学んでいくものなのだと、改めて教えられた気がします。
息子の「ごめんね」の一歩に、私の方が成長をもらった一日でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。