シングルマザーの味方
Oさんはバツイチのシングルマザー。
小学生の子どもを抱え、児童扶養手当をもらいながら仕事をして1人で頑張って子どもを育てています。
家事と育児と仕事に追われて忙しい毎日でしたが、子どもと2人、力を合わせて暮らしていました。
そんなある日、たまたまOさんの仕事が休みで平日の昼間に家にいると、突然役所の人が訪ねてきたのです。
「男性と暮らされているのではないか、というお話がありまして……」
役所の人にそう言われたものの、Oさんは仕事と育児で忙しく、離婚をしてから男性と恋愛どころか同棲をするなんてまったく心当たりがありません。
役所の人もOさんの自宅に男性の影がまったくないことを確認し、その日は帰っていきました。
通報したのは……
なんで役所の人が来たんだろう、おかしいな、とOさんは不思議に思っていました。
すると後日Oさんは子どもが同じ小学校に通っているシングルマザーのママ友から、衝撃の事実を聞かされるのでした。
「Oさんち、もしかして役所の人来た?」
「来たよ、なんで知ってるの?」
するとシングルマザーのママ友はとても言いにくそうに、Oさんとそのママ友と親しくしている別のシングルマザーのママ友の名前を出したのです。
「〇〇さん(ママ友)が、『Oさんち最近男性が出入りしてるよね、児童扶養手当貰いながら男性に養ってもらってるのはずるいから私が通報した』って言ってたの。やめときなって言ったんだけど」
「え、〇〇さんが!?」
そのママ友とOさんは同じ市営住宅で暮らしていたこともあり、とても親しく付き合っていました。
親しかっただけにOさんのショックは大きかったといいます。
「男性が出入りしてるって、あれは弟なんだけど……」
実はOさん、近所に住んでいる実の弟に週に数回、子どもの勉強を見てもらっていたのです。きっとママ友はそれを見て、Oさんの家に追い人が訪ねて来ていると勘違いしたのでしょう。
Oさんは事情も聞かずに通報されたことがショックで、その後そのママ友と距離を置くことにしたそうです。
親しくしていただけにショックですよね。せめてその男性が誰かを聞いてくれれば友情が壊れることもなかったでしょう。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。