3年間しかない中学校生活、誰もが悔いのないよう過ごしてもらいたいものですが……。筆者の知人Aさんの中学3年生の息子さんは、最後の総体を1週間後に控えたタイミングで盲腸になってしまいました。薬で散らして何とか総体に間に合わせたそうなのですが、悔いの残らない大会にできたのでしょうか。

まさか! 総体1週間前に盲腸

Aさんは中学3年の息子を育てる母。息子はソフトテニス部に所属し、3年間部活に打ち込んできました。総体に向けて息子は気合いが入っていて、Aさんも応援するのを楽しみにしています。

あと1週間で総体が始まるという6月初旬、息子が腹痛を訴えたので病院に行くと、なんと盲腸と診断されました。そのまま入院することになり、検査の後、薬で散らすことに。

手術となれば1か月は安静にしていなければならなかったので、総体出場は絶望的でした。しかし薬で散らしても3日は入院しなければならず、息子の総体はどうなってしまうのか、心配でした。

出場が危ぶまれた総体

盲腸を薬で散らした息子は何とか総体に間に合い、個人戦も団体戦も出場することができました。しかし、病み上がりなこともあって、いつもの力を出し切ることはできず個人戦では悔しい結果に終わってしまったのです。

ただ、団体戦では仲間のおかげで市大会を勝ち進み、地区大会へ進出することができました。

個人戦で目標としていた成績を残せなかったことが悔しく、息子は号泣。盲腸になったことを恨んでいましたが、一晩寝ると気持ちを切り替えられたようです。

仲間がつないでくれた団体戦の地区大会に向けて、練習を頑張ろうと思えるようになったのです。

いよいよ地区大会

地区大会に向けて、練習を頑張る息子。最初はお腹に違和感を感じることもあったようですが、だんだんと調子を取り戻していきました。

そしていよいよ地区大会の日を迎え、息子は体調を気にすることなく全力を出し切ることができたのです。

仲間と一緒に声を出し、応援を頑張り、一生懸命走る息子の姿を見ているだけで感動してしまったAさん。息子自身もやり切ったと思える大会になったようです。

ピンチを乗り越えた先にあったもの

総体直前に盲腸になり、総体出場すらピンチになってしまったときにはどうなることかと思いましたが、息子自身は得るものが大きかったようです。

自分のピンチを経験したからこそ、より一層仲間への感謝の気持ちが生まれ、これまで以上に一致団結できた大会になりました。

力を出し切れず悔しい思いもしましたが、仲間との絆を深め、最後には納得いく結果に終わった大会。終わりよければすべてよし、結果オーライの大会となり息子は中学生活最後の大会を締めくくることができたのです。

「どうして自分がこんな目に?」と思うような出来事が起きても、気持ち次第でそこから学びを得ることもできるのですね。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:安藤こげ茶
自身も離婚を経験しており、夫婦トラブルなどのネタは豊富。3児のママとして、子育てに奮闘しながらもネタ探しのためにインタビューをする日々。元銀行員の経験を活かして、金融記事を執筆することも。