大人になってからの友達関係、距離のとり方がむずかしいこともありますよね。これは筆者の知人・なつみさん(仮名)が、人付き合いの中で気づいた、大切なことについてのお話です。
その言葉に傷ついた
なつみさんは、子どもが通う地域のサッカーチームで、吉田さん(仮名)と知り合いました。
どこか上品な雰囲気をまといながら、初対面でも気さくに話しかけてくるタイプ。
最初は、感じのいい人だと思っていました。けれどある日、こんな言葉をかけられたのです。
「私、付き合う人は“メリットがあるか”で決めてるの。あなたはちょっと違うかな」
悪気のない笑顔のまま、さらりと放たれたひと言に、なつみさんは呆然としました。
そんなことを言われたのは、初めてだったのです。
擦り減っていく心
なつみさんは、あのひと言に驚きつつも、すぐに関係を切る決心はつきませんでした。
この年齢で新しい友達をつくるのは、なかなかむずかしい。そんな気持ちが、心のどこかにあったのです。
けれど、吉田さんの行動には驚かされることが続きました。
夫の会社の優待券を「買ってくれない?」と頼まれたかと思えば、商品券や娘さんのバレエ発表会のチケットも。
さらには、好みを無視した高級ランチの誘いまで、当然のように押しつけてきます。「人を選ぶ」と言いながら、都合のいいときだけ頼ってくる。
その一方通行な関係に、なつみさんの心は静かに擦り減っていきました。