筆者の息子と同じクラスのママ友・Y子は、ちょっと図々しいところがある人でした。息子が6年生の夏休み、Y子は様子を探るふりをしてとんでもないお願いをしてきたのです。筆者の体験したエピソードをご紹介しましょう。

宿題

息子が小学6年生の夏休みのこと。
ある日、買い物へ行くと、偶然同じクラスのママ友・Y子と会いました。
Y子は私を見るなり近づいてきて「ねぇ、宿題順調?」と聞いてきました。

私が「ブツブツ言いながらもやってるよ」と言うと、Y子が「Rくん(息子)って去年自由研究の発表で代表になってたよね?今年は何やるの?」と聞いてきたので「まだ決まってないんじゃないかな?」と答えました。

するとY子は「うちの子も一緒にやらせてくれない?」と言い出したのです。

自由研究

普通は個人でやることが多い自由研究ですが、息子の学校では共同研究というのも許可されているというのは先生から聞いていました。
しかし、息子自身の意見もあるだろうと思い、私は「聞いてみるね」とだけ答えました。
Y子の息子が私立中学への進学を考えているのは有名な話。
そのため、自由研究が得意な息子に白羽の矢が立ったのでしょう。

帰宅後、息子にその話をすると「いいけど、共同研究って時間合わせたりとか多分大変だよね。大丈夫なのかな?」と言ったため、Y子に連絡してそのことを伝えました。

訪問

すると、次の日の朝、いきなりY子が我が家にやってきて「これ、よろしく♡」と自由研究に使えそうな模造紙を息子に渡したのです。

息子が「これはどういうことですか?」と聞くと、Y子は「いいからいいから! とりあえず2人の名前で進めておいてくれる?お願いね!」と一言。

「ちょっと待って、それは共同研究にならないじゃない」と私はY子に言いました。
しかし、Y子は「息子は夏期講習で毎日忙しい」、「得意なんだから、出来るでしょう?ちゃちゃっとやってくれればいいから」と言って聞きません。

Y子の希望する自由研究のテーマは星の観察。
すると息子は「僕が代わりにTくん(Y子の息子)の宿題をするって、おかしいと思います。Tくんから直接連絡をもらえれば考えるけど、このまま引き受けることはできないです」ときっぱり断りました。

反撃

息子に断られたY子は、「わかったわよ!Tから連絡させるから、それまで進められるところは進めといてよね!」と言い放ち、帰って行きました。

そこからY子やTくんからの連絡は一切なし。
どういうわけか、Y子は素知らぬ顔で宿題を提出する日の前の晩にやって来ました。

「Rくん、できた~?」と猫なで声で話しかけるY子。
すると息子は「Tくんから何の連絡もなかったし、自分の分しかやっていません」と言うと「やってないの?! そうならさっさと言ってよ!」とY子はプリプリしながら帰って行ったのです。

その後

次の日学校へ行くと、息子は担任の先生からTくんは具合が悪く欠席と聞いたそうです。
Tくんは後日自由研究を提出、息子は夏休み中に自分で決めたテーマで研究を進めた物を期日通り提出し、その年も代表者として発表を行いました。

Y子は私や息子に対していまだに怒っているようですが、今回の経験を通じて、友人関係においても時には自分の考えをはっきりと伝え、線引きをすることの重要性を息子から学びました。

いくら忙しいから、成績を上げたいからと言って、他人に宿題を押し付けるのはよくないですよね。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。