これは筆者自身の体験です。
4歳の息子をスイミングに通わせ始めたのは、「体力をつけてほしい」「水に慣れてほしい」という思いからでした。
思いのほか順調に進級し、息子も楽しそうに通っていたので、「このままどんどん泳げるようになればいいな」と期待をふくらませていたのですが……
ある出来事をきっかけに、私は大切なことを見失いかけていた自分に気づかされました。

「うちの子、スイミング順調です!」と思っていた

4歳の息子をスイミングに通わせ始めたのは、体力づくりと水への苦手意識を克服してほしかったから。
最初は本当に順調で、あれよあれよと進級していき、本人も笑顔で「今日も楽しかった!」と話してくれていました。

私はすっかり安心しきって、「このままどんどん泳げるようになってくれたらいいな」と期待をふくらませていたのです。

合格間違いなしと言われたのに……なぜか不合格

ところがある時から、同じ級で足踏みするようになってしまいました。
「今度のテストで合格だね」と複数の先生に言われていたのに、いざテスト当日になると、いつも同じ先生が試験官の時だけ“なぜか不合格”。

他の子が次々と進級していくなかで、焦りと不満が募っていきました。

思わず先生に詰め寄ってしまった私

ついに我慢できず、私はその先生に直接聞いてしまいました。
「他の先生は合格って言ってたのに、どうして進級できないんですか?」

すると先生は、穏やかな口調でこう答えたのです。

「ギリギリのラインにはいます。ただ、今進級してしまうと次のステップでつまずく可能性があるんです。だから、自信を持って次に進めるようになるまで待っているんですよ。」

大切なのは“結果”じゃなかった

その言葉を聞いて、私はハッとしました。
私はいつの間にか、「早く進級してほしい」「他の子に追いついてほしい」と“今の結果”ばかりを見ていたのだと気づいたのです。

でも、本当に大切なのは息子が楽しんで水泳を続けられること。
無理に進級して壁にぶつかり、水泳が嫌いになってしまったら本末転倒。

先生は“その先の未来”を見据えて、息子のために判断してくれていたのでした。

今では「スイミング楽しい!」と笑う息子に

それから私は、息子のペースを大切にしようと決めました。
先生への信頼も深まり、息子も「スイミング行くの楽しみ!」と笑顔で通っています。

進級よりも、子どもが笑顔で続けられることのほうが、何倍も価値がある。そう心から思えるようになりました。

子育ては「今」だけじゃなく「その先」も見てあげたい

この経験を通して思うのは、子育てって“その瞬間”だけを見て判断しがちだけれど、大切なのは“その先”を見守ること。

目の前の合格や進級よりも、その子がどんなふうに育っていくのか。
未来を信じて、じっくり見守ることこそが、親としてできるいちばんの応援なんだと感じています。

【体験者:40代・主婦、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。