実家は兼業農家
私の地元は、東北地方のいわゆる田舎です。実家は代々農業をやっていて、両親も会社員として働きながら農業を兼業しています。両親は季節ごとに畑で採れた旬の野菜を送ってくれ、毎年秋になると一番最初に収穫した新米を送ってくれます。
ママ友にお裾分け
昨年も新米が届き、仲良くなったママ友にお裾分けをしたのですが、「うちはブランド米を注文しているの。主人が味にうるさくて個人の農家さんのお米は無理で。安全面とかも心配だし、遠慮するわ」と断られてしまいました。
お裾分けをして断られたのは初めてだったので正直驚きました。個人農家といっても両親は長く農業に携わっていて美味しいお米を作っています。米にこだわっているのだなと思う反面、ブランド米よりも両親の米は劣っているかのような口ぶりで拒否されたことが、両親を否定されたように感じて悲しくなりました。モヤモヤした気持ちを払しょくできず、そのママ友と少し距離を置くようになりました。
米不足でママ友から連絡が
今年に入り、国内の供給調整などにより、米の供給が不安定になった「令和の米騒動」が起きると、そのママ友から連絡がきました。ママ友が注文していたブランド米が手に入らなくなったらしく、「個人農家なら余ってるんでしょ?わけて!」と言ってきたのです。希望の米が買えないのは気の毒でしたが、うちの米をお裾分けしても、きっと嫌々食べられることでしょう。私は両親を悲しませるようなことはしたくなかったため「でも個人農家だから安全面とか心配でしょ? お口に合わないかもしれないし、もうお米の譲り先は全部決まってるみたいだから」と、お断りしました。
実家は兼業農家といってもそれなりの規模でやっていて、味も好評です! この一件で、私は本当に大切な人やものの価値を改めて考えるきっかけになりました。
【体験者:40代・パート女性、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kato Rira
シナリオライターとして活躍するも、出産と育児を機に、フリーライターに転身。バリキャリから、家庭と仕事の両立への転換を経験し、その思いをコラムに執筆。現在はママ、PTA、職場と家庭のバランスなどを主なテーマにコラムを執筆中。