家ではあんなにおしゃべり好きなのに――。
息子が口を閉ざした<意外なワケ>とは?
息子のギャップにびっくり
ある日のことです。
息子の幼稚園の連絡帳に「最近、Aくんがあまりお話しをしてくれません」と書かれていました。
家ではとってもおしゃべりな息子。
毎日のように、幼稚園であったことを楽しそうに話してくれるので、私はそのギャップに少し驚きました。
「先生は、なんでもママに言うから……」
その晩、いつものように夕食を食べながらおしゃべりを楽しむ息子に、軽い感じで聞いてみました。
「ねえ、幼稚園の先生には、こういうふうにお話ししないの? 先生、Aくんともっとお話したいなあって言ってたよ~!」
すると息子は、一瞬むっとしたような表情を浮かべたかと思うと、ぽつりとつぶやきました。
「だって、先生にお話しすると、なんでもママに言っちゃうんだもん」
「えっ?」
ぼくにだって、プライバシーはある!
担任の先生はとても丁寧な方で、園での息子の様子や、会話の内容を細かく私に報告してくれます。
連絡帳や、お迎えのときに先生と交わす会話で、日々の息子を知ることができるのは、親としては大変ありがたいことなのですが、本人からすると、これが嫌だったよう。
自分のことが、勝手になんでも筒抜けになっているように感じたんですね。
小さいながらも、家では家の顔、園では園の顔があるようで、先生やお友達には言えても「親には内緒にしておきたいこと」「自分のペースで伝えたいこと」があることがわかりました。
「そうだったんだね。勝手にママに言ってほしくないことだってあるよね」
たしかに、大人だって同じですよね。
この人になら……と思って秘密の話をしたのに、そっくりそのまま第三者に伝えられてしまっては、腹も立ちます。
しかし、今回のケースに関しては”先生が悪いのではない”ということはしっかりと伝えなければいけません。
我が子の成長に、思うこと
「先生というのはね、Aくんが幼稚園でどう過ごしているかママとパパにお話しをするのも”大切なお仕事の一つ”なの」
「だから、先生がママになんでもお話をしてくれるのは、先生が悪いのではなくてそういう理由なの。もし今度、内緒にしてほしいことがあったら『ママには内緒にしてね』とお話する前に聞いてみたらどうかな?」
「そっか......。うん、わかった!」
素直な息子は私の説明を理解してくれたようでした。
いつまでも「赤ちゃん」だと思っていた息子。
しかし親の知らぬ間に、彼の心は着実に成長していたようです。
幼いなりに、コミュニティごとの顔を使い分け、自分の持つ人間関係やプライバシーを尊重してほしいと感じるようになったのですから。
私自身、息子のことは、なんでも知りたいし、知るのが当然だという考えが改まったこの出来事。
とはいえ、まだまだ親の管理が必要な年齢ではあるので、しっかりと見守るつもりです。
しかし、きっとこれから「自分の知らない息子」が、成長とともに少しずつ増えていくことでしょう。
「元々は、私のお腹にいて一心同体だったのにね」
我が子の成長は嬉しいことでもあり、また寂しいことでもあるんだな――そう、しみじみと感じたのでした。
【体験者:40代女性・専業主婦、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。