きっかけは、娘の一言
「ねぇママ、パパの本当の奥さんってY子さんなの？」
その日、私は思わず手に持っていた洗濯物を落としてしまいました。娘は6歳になります。
「な、何のこと？」と聞き返すと、娘はケロッとした顔でこう答えました。
「だって、ママがお買い物に行ってる時、パパが電話でY子さんに“ママより愛してる”って言ってたよ」
一瞬、頭が真っ白になりました。Y子さん、それは夫の職場の女性です。
何度か娘と参加していた社内のイベントでお世話になっており、まさかそんな関係があるとは思ってもみませんでした。
疑惑から確信へ
それからというもの、私は夫の行動を注意深く観察するようになりました。
帰宅時間が遅くなる日が増え、スマホをやたらと気にするようになった夫。
ある日、夫が入浴中にスマホが鳴り、画面を見ると“Y子”の名前が。
「今日はありがとう。またあなたの隣で眠れるのを楽しみにしてるね」というメッセージが表示されていたのです。
この瞬間、すべてが繋がりました。娘の言葉はただの子どもの空想ではなく、現実だったのです。
問い詰めと夫の言い訳
その夜、私は夫をリビングに呼び出しました。静かにスマホの画面を見せ、「これ、どういうこと？」とだけ問いかけました。
夫は数秒間黙り込んだ後、「ちょっとした気の迷いだった」と言い訳を始めました。
「仕事が忙しくて、家庭のことで癒されなくて……」
そんな言葉を並べる夫に、怒りよりも呆れが込み上げてきました。
家庭をないがしろにしておきながら、癒しを求めて他の女性に逃げる。そんな姿を、娘に見せていたことが何より許せませんでした。
娘の未来を守るために
翌日、私は実家に娘と共に一時的に身を寄せました。夫とは改めて話し合いをし、娘の前では一切言い争いをしないことを約束した上で、現在は別居中です。離婚も視野に入れながら、娘の気持ちを最優先にして進めていこうと決意しています。
あの日、娘が無邪気に発した言葉がなければ、私は真実を知らずにいたかもしれません。
子どもは時に、大人よりも真実を見抜いている、そう痛感させられた出来事でした。
家族とは、信頼の上に成り立つもの。改めてその重さを噛みしめています。
【体験者：30代・女性会社員、回答時期：2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター：池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。