小学校入学
息子が通っていた小学校はとても規模の小さい学校で、各学年1クラス、全校で100人程度の学校でした。
同じ幼稚園から入学してきた子たちが多く、保育園に通っていた息子には少々アウェイ気味……。
それは保護者も同じで、幼稚園卒園組と保育園卒園組で何となく派閥が出来上がっていたのです。
PTA
入学して初めての保護者会のとき、PTAの役員を選出することになりました。
PTAの活動はとても活発で、1週間に何度も学校へ顔を出したり、行事には必ず参加しなければいけないとのこと。
そのためフルタイムで仕事をしている人には厳しい状況な場合が多い中、他の学年では時間に都合のつく人がやってくれることが主流になっていたようなのですが……。
私たちの学年は、役員がなかなか決まらなかったのです。
バトル
そんな中、口火を切ったのは保育園組の代表格だったSさんでした。
「フルタイムで働いてる人には無理なスケジュールですよね? だったら幼稚園組の方たちで時間がある人がやってくれれば良いんじゃないですか?」
それに対抗したのは幼稚園組のボスママ・Kさん。
「そんなこと言ってたら、ずっと同じ人がやるようになるんじゃないですか? それは不公平でしょ?これだから保育園組は嫌なの!」
そこからSさんとKさんの保育園組vs幼稚園組のバトルが始まったのです。
役員決定
嫌味たっぷり、半分脅しも入るような双方一歩も引かない闘いが続き、周囲も引き気味……。
見かねた担任の先生が「どなたか、立候補してくださる方はいませんか?」と声をかけると、もともと家が近所で仲の良かった2人が立候補してくれたのです。
その2人は幼稚園組と保育園組。
これらの対立構造を作っているのはSさんとKさんのような一部の保護者であり、全員が同じ意見というわけではありませんでした。
私がこんなことを言える立場にはないのですが、SさんもKさんも何もあんなに感情的な戦いを繰り広げなくても良かったのに、と思いました。
きっと立候補した2人も何とかあの場を収束させたかったのかもしれません。
もしそうであれば、余計に頭が下がります。
伝説
役員は決まったのに、まだ怒っていたKさんは「もう、帰ります!」と言って席を立ちました。
それを見たSさんは「お好きにどうぞ!」と捨て台詞。
それから6年間、SさんとKさんは犬猿の仲。
2人の泥沼の闘いはPTAで語り継がれる伝説になってしまいました。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。