他人の愚痴を聞く商売が成り立つほど、人は“誰かに愚痴を聞いてほしい”という思いを心に秘めています。一方、愚痴を聞かされる側にとっては、頻度や内容にもよりますがつらいものです。
今回は、一方的な愚痴に疲弊する友人関係に直面したB子のエピソードを紹介します。

友人の愚痴、どこまで聞くべき?

私の友人B子は介護施設で働いており、夜勤もあれば早朝勤務もあります。B子の友人・A子は彼女の勤務形態を知っているものの、自分が愚痴を吐きたくなれば、相手の都合は完全無視で、連絡をしてきます。

友人であれば緊急性のある愚痴やたまにの愚痴であれば、多少無理をしてでも話を聞いてあげたくなるものです。しかし、A子の愚痴は職場の上司やお客さんのことなど些細なものがほとんどだと言います。「あの上司が自分に冷たい。上司に〇〇されて不快だった」「今日来たお客さんがむかついた。お客さんが〇〇すると迷惑」といったものばかり。また、愚痴の内容に対して解決策の提案を求めているわけでもないようです。

ある日、B子のもとにA子から23時すぎに電話がかかってきました。愚痴を聞いてほしいA子に対し、B子は「そういう話題なら今はごめんね。明日は7時から勤務なんだ。早番だから早く寝たい」と伝えたそう。すると、A子は機嫌を損ね、「B子、友達じゃないんかーい」とふざけた口調で言った後、「B子しかいなくて」と泣きながら訴えてきたと言います。ちなみに、A子は飲み会に高頻度で参加したり、友人と旅行に行ったりしているため、友達がいないとは思えません。

A子のせいで睡眠不足

結局、B子はA子に1時間ほど責められたそうです。「B子しかいない」「B子は冷たい」「B子は私のことどうでもいい?」などと問い詰められ、電話を切るに切れない状況に陥りました。また、電話が終わった後、想定していた睡眠時間の確保が難しいことに気付き、すぐに寝ようにもモヤモヤしてなかなか寝付けなかったと言います。

介護職といえば体力が必要な仕事であるため、睡眠不足の状態でフルタイム勤務はかなりきつかったはず……。

私はA子の友人に対する態度に問題があると思いますが、きっぱり断ることが難しい状況に陥ってしまったB子の葛藤も理解できます。A子には多数の友人がいるようですが、彼女が感情的になった際に、心優しいB子を頼ってしまう場面があったようです。

もちろん、時と場合や相手との関係性にもよりますが、毅然とした態度が必要なシーンもあると思います。このエピソードから、友人との健全な距離感を保つことの重要性や、自分の心を守るための自己表現の必要性について考えるきっかけになれば幸いです。

【体験者:30代・会社員、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:太田あやこ
大学でジェンダーや女性史を学んだことをきっかけに、専業ライターとして活動中。自身の経験を活かしながら、幅広い情報収集を行い、読者に寄り添うスタイルを貫いている。人生の選択肢を広げるヒントを提供し、日々の悩みに少しでも明るさをもたらせるよう、前向きになれる記事づくりに取り組んでいる。