今回は、筆者の知人から聞いた、学歴に囚われすぎた夫が家族との関係を見つめ直し、少しずつ変わっていったエピソードをご紹介します。
学歴コンプレックス
夫は大学受験に失敗したことがあってか、長年学歴にコンプレックスを持っていました。
学歴で人を判断する悪い癖があり、妻である私に対しても発揮してくる夫。
「馬鹿丸出しじゃん」
「こんなことも分かんないなんてさすがA大学出身だね」
夫よりも偏差値の低い大学を卒業しているからか、何かにつけては学歴を盾に嘲笑ってくるところが苦手でした。
学歴に関するコンプレックスや自負心は、誰にでも少なからず存在するものかもしれません。
でも、それを理由に他人を傷つけるような言動は、決して許されるものではないはずです。
息子に対しても
私をなじるだけだったらまだ耐えられていたのですが、とうとう息子にも高学歴であることを強いるように。
「こんな問題も分からないのか!」
「これでは志望校に程遠いぞ」
『息子には高学歴になってほしい』と夫は小学生の頃から勝手に息子の進路先を決めて、厳しく指導していました。
そんななか、息子が高校受験に失敗するや否や態度を一変。
「お前の遺伝子を継いでいるからだろ」
「そりゃ馬鹿で当然だわ」
私のせいにして息子まで馬鹿にするようになったのです。
しかし、3年後の大学受験でまさかの展開に!
息子の反撃!
実は息子、父親の過度な干渉に強いストレスを感じており、本来の力を出せないまま高校受験に臨んでいたとのこと。
そのため第一志望校には受かりませんでしたが、その経験を通じて、親の期待やプレッシャーではなく『自分の意思で進学先を選びたい』という思いを強く持つようになっていた息子。
高校進学後は父親の干渉も和らいだため、息子は自らのペースで学びを楽しめるようになり、学力も大きく伸びていきました。
その結果、大学受験では見事、夫が落ちた名門B大学に合格!
唖然とする夫を見て「僕には僕の価値がある。父さんの価値観とは違うけれど、僕は僕自身の道を進むよ」と言い放ってくれました。
その後
夫は息子の言葉と、彼の成長した姿に衝撃を受け、これまでの自分の言動を深く反省したようです。それからというものの、息子は夫の存在をまるで無視して生活するように。
夫は息子の態度に腹を立てることもありましたが、以前のように学歴を理由に罵ることはなくなりました。そして、ある日、夫は私と息子に、これまでの自分の行いを深く謝罪してくれました。
今では学歴を理由に夫から馬鹿にされることもなくなり、息子も落ち着いたようで、穏やかな毎日を過ごせています。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にltnでヒアリングと執筆を行う。